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中間管理職板ばさみ相談室

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Q45
「業務の統一」を旗振る役員と抵抗する現場

  • 2025-03-17
  • IT業 管理部(40代)

弊社は、ICTサービスの受託事業者として店舗を全国展開しており、私は本社の管理部長をしています。

これまで、お客様の状況にあわせたフルスクラッチの対応を支店ごとに実施してきたのですが、先日、役員から「システム化するにあたり、各支店の業務を統一するように」というお達しがありました。

私から各支店の課長に「業務の統一」を依頼したのですが、どの支店も「お客様へのきめ細やかな対応」を盾に、業務の統一に反対している状況です。現状業務から変化することを面倒がっている雰囲気も感じます。

役員は、今後の「DX推進」や「組織規模の拡大」に向けて業務統一を指示しているのですが、現場は反対の一点張りです。
役員は支店の社員と話す機会はなく私が間に入っているのですが、役員の意志は固く、より一層支店の反発を招いています。
本社の管理部長として、どのように進めていけばよいでしょうか。

A45
自らの任務を明確化し、
断固改革を実行する意志を持つこと

各支店はフルスクラッチの対応、つまり「お客様へのきめ細やかな対応」を理由に業務の統一に反対していて、現状業務から変化することを面倒がっているようですね。

役員は今後の「DX推進」や「組織規模の拡大」に向けて業務の統一を指示しています。 まさに管理部長のあなたは役員と支店現場との板ばさみ状態です。一体あなたはどうすれば良いのでしょう。

先ず「フルスクラッチの対応」と「業務の統一」は相反するものでしょうか。
フルスクラッチの対応は、完全オーダーメイドで独自性が求められるPJや、顧客やユーザーにとっても細かい要望や業務環境にも対応するシステムやソフトウェアを手に入れることができるなどの利点があります。
欠点としては、開発側の労力、時間がかかり、かつ膨大なコストがかかります。

フルスクラッチの対応には上記のような利点、欠点があることを認識した上で、業務の統一を図ることが重要であり、すべてが相反するものではないと思います。
そのような考えのもとに以下考えてみましょう。

役員の指示は恐らく取締役会の決定事項であり、社長決心に基づくものと推測されます。何故なら、本質問の内容は明らかに会社の戦略の変更(フルスクラッチの対応からの変更)だと思います。

取締役会の決定に基づき社長意志の発動(決心)であるならば、役員から指示された今後のDX推進や組織規模の拡大に向けての業務の統一は、あなた(管理部長)の任務であると考えるべきです。
※「状況判断(任務分析)」及び 「意思決定の仕組」については誌面の都合で割愛致します。

あなたの任務が明らかになったら、あなたは社長(役員)の補佐者(スタッフ)として、

  1. ①「上司の意図を具現化するという立場」であり、
  2. ②「本社の管理部長として各支店に実行の指示を出す立場」となります。

そのためには、以下のことを考慮して改革実行に臨みましょう。

  1. 実行にあたっては、会社としての改革・改善の意義、必要性、重要性を社長名又は取締役名で発するための準備をしましょう。そして、承認を得て各支店に発出しましょう。
  2. 次に、あなたは業務統一のための実行計画を作成します。その計画については、社長決裁を経て、その計画に基づき実行に移します。
  3. 計画実行にあたっては、業務の統一のための手順を示し、各支店の実情を勘案しながら可能なところから実行しましょう。この際、期限を切って何をいつまでに完了するかを支店に明確に示すことが重要です。
  4. また、実行の進捗状況など上司への報告は逐次行いましょう。特に、中間報告を忘れないようにしなければなりません。
  5. 支店の主要な方々と密に連携を取り合い、会社の将来のあるべき姿など共有するためのコミュニケーションは欠かせません。
  6. 最後に、改革実行にあたり最も重要なことは、あなたが断固改革を実行するという強い意志を持ち、決してあきらめないことです。

以上述べましたが、業務遂行にあたり問題点などがあれば、現状について上司に報告し、指導を仰ぎつつ、また他のスタッフ等と一緒になって業務を行い、一人で仕事を抱え込まないことも大事です。
話の内容からして、あなただけで解決できる問題ではないと思います。

質問の文面からは具体的な内容が汲み取りにくく、抽象的、一般的な回答になってしまいましたが、少しでも参考となれば幸いです。

以下、余談ですが、質問にあるように本社と支店(現場)の考え方や立場の違いに起因する相違は非常に多いです。
その理由は、本社と支店の「視点の相違」及び「お互いに持っている情報の質と量の違い」です。

本社は全国支店を見て、今後の会社の方向性、戦略を決めます。将来のあるべき姿から長期計画などを作ります。
支店は、現場でお客様対応を最優先しています。

よって、意見、考え方が異なるのは当然のことでしょう。
この「本社、支店が一体となって会社目的達成のために情報を共有し、価値観を共有し、良いコミュニケーションをとること」が、組織的活動には欠かせないと思います。日頃から信頼関係を築く努力を怠らないことです。

今回も難しい質問でした。与えられた文面からの推測による回答になりましたが、ここは一つ管理部長の腕の見せどころです。
大局的見地から会社の方針に従い、計画を作り、強い意思をもって実行してください。
きっと、支店の方々も会社の方針を理解してくれると思います。頑張ってください。

今回のまとめ

  • あなたの任務である「業務統一」について、大局的見地から会社の方針に従い、計画を作り、強い意思をもって、決してあきらめず改革を実行すること。

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

3月も半ばを過ぎました!! 色んな草花、木々の新芽も膨らんできて、道を歩いていても、ちょっと嬉しくなりますね。 あちこちに春の息吹きを感じます。 皆様も花見の計画などおありかと思います。多いに自然を楽しみリフレッシュしましょう!!

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