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Q47
年度計画の作成、波風立てずにやり過ごしたい
- 2025-05-19
- 経営企画部部長(40代)
先日、部の年度計画を前年の計画に最小限の修正をして提出したところ、『インフレやAIの登場など前提が変わったのだから、それも踏まえてちゃんと考えて出し直すように』と社長から突き返されました。正直何をどう考え直せばいいのか皆目見当もつかないまま、GW明け提出の〆切だけが迫ります。
正直私は『できることなら前例踏襲で終わらせたい』気持ちでいっぱいです。新しいことをやって波風立たせるのは避けたいです。課長に案を振ったところ、『具体的な方向性がないと動きようがありません』と言われ、呆れ顔をされました。
社長からの抽象的な要求と、それに応えられない自分、さらに具体的な指示を求める部下からの突き上げ。このままでは大失敗しそうです。この完全に行き詰まった状況、どうしたら打開できますか?
A47
先ずは社長の考えを知ることから
問題は、あなた(経営企画部長)が年度計画を前年計画を踏襲して最小限の修正で社長に提出したことです。
社長の「インフレやAIの登場により前提が変わったのだから、それを踏まえて考え直すように」という指示はもっともなことです。
思考過程における前提条件、つまり大きな環境の変化などが起きた場合には、前例踏襲型の計画を大きく変えなければならない事態が発生します。本題はまさにこれに該当します。
ところが、経営企画部長は何をどう考え直すべきか皆目見当がつかない、前例踏襲で終わらせたい、新しいことをやって波風を立てるのを避けたい。課長に案を振ったら「具体的な方向性がないと動きようがない」と言われ、呆れ顔をされた。
まさに板ばさみ状態ですね。
はっきり言って、この原因は、あなた(経営企画部長)にあります。
何が問題なのでしょうか?
年度計画作成の基本手順
先ず、年度計画作成の基本的な手順を以下考えてみましょう。
(基本手順)
- 社長意図を確認する。
- 社長意図を反映した年度計画作成のための大綱の承認(決裁)を受ける。
- 年度計画の大綱に基づき、計画作成に着手する。
その際、必要により関係部課との調整を行い、期限を示して部下(課長)に作成指示を出す。 - 期限までに作成した年度計画案を取りまとめ、整合性を確認し、補備修正をする。
- 最終案により社長決裁を受ける。
社長の指導があった場合は、その指導内容に基づき、補備修正をして再度社長決裁を受ける。
上記の基本的手順により、経営企画部長は年度計画作成者としての責任を果す必要があります。
本題の場合は、GWに近づいており、時間的余裕がない状況にあります。
経営企画部長であるあなたは全力を振り絞り、GW返上のつもりで現状の打開に努め、責任を果すことが求められます。
経営者(社長、トップ)は、特に会社を牽引し、その存続を図るため日夜考え続けています。その社長の補佐者であるあなたが社長の考えについて行けない。結果として社長の意図するところが本質的に理解できないことにこの問題が起因しています。
そのためには、先ず社長の考えを知ることから始めなければなりません。部長であるあなたは計画作成のため、環境の変化(AI等の急速な進化など)、つまり前提条件の変化について社長とよくすり合わせる作業、次に計画作成のための大綱、方向性について決裁をもらったり、指導受けするなどをして、計画作成を急ぎましょう。特に作業の途中の段階での中間報告をして方向性が間違っていないか確認しつつ、早急に作業を進めましょう。
如何せん、問題なのは、前例踏襲で終わらせたい、新しいことをして波風を立たせたくないというあなた(部長)のやる気の無さです。致命的な問題ですね。
先ず経営企画部長としての現在のその考えを改めなければいけません。
経営企画部長に求められる心構え
以下、そのための大事な考え方を述べたいと思います。参考にして頂ければ幸いです。
- 会社の発展のために全力を尽くすという心構え、覚悟を持つこと
- 社長の補佐役としていつも一心同体の気持ちでコミュニケーションを取ること
- 分からないことがあれば虚心坦懐、教えを乞う素直さと勇気を持つこと
- 年度計画の責任は自分にあるという強い責任感を持つこと
- 仕事から決して逃げない、困難に立ち向かう本気度があること
- 部下(課長)、他の部課長とのコミュニケーションを取り日頃から信頼関係を得ること
仕事のやり方が分らない、出来ないのは、自己の努力や他の人の力を借りる等により何とかなるものです。
問題なのは、経営企画部長としてのあなたのやる気、本気度が感じられないことです。経営企画部長として、経営者側に立ったものの考え方をすることが重要だと思います。これがいわゆる「主動」の原則です。仕事をやる上でいつも受動に陥ってしまっていては、良いアイデアが生まれるはずがありません。常に「主動」を意識して幕僚(社長の補佐者)として「先行」的な仕事を心掛けましょう!
今一度、楽しく明るく仕事が出来るように頑張って欲しいと思います。お役に立てば幸甚です。
今回のまとめ
- 完全に行き詰った状況を打開するためには、社長とのコミュニケーションを十分に取ること
- 社長と一心同体の気持ちで虚心坦懐、社長意図の具現に邁進すること
- 経営者側に立ったものの考え方、「主動権」「先行性」を発揮して責任を全うすること
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回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
晴れやかな青空の広がる季節、バラ、ハナミズキ、フジなどたくさんの花が見事に咲き誇っています。あなたは美しい花を誰と何処に見に行きますか? 楽しみですね。
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