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中間管理職板ばさみ相談室
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Q56
「この忙しい時期にBCP訓練って意味がありますか?」
という若者に上手く説明できません
- 2026-2-16
- 不動産事業者 総務部長 50代
社長から「災害や不測の事態に備え、実効性のあるBCP訓練を定期的に行え」と厳命されました。しかし、総務部長として今期の計画に織り込んでみたものの、現場の若い課長連中からは、「ただでさえ人手不足で忙しいのに、なぜ通常業務を止めてまでやらなければならないのか」「どうせマニュアル通りにはいかないのだから、訓練しても時間の無駄だ」と、訓練以前に計画そのものへのケチがつけられている状況です。
正直なところ、私自身も現場の言い分に一理あるとも思い、忙しい現場の時間を使うことに「申し訳ないな」と感じてしまいます。
こんなことではいけないとは分かっており、訓練は皆が自分事として取り組まなければならないとは思うのですが、現場から計画の不備を指摘されることも多く、どうすれば訓練を「自分事」として捉えてもらえるのかと、考えあぐねております。
どうすれば現場の士気を下げずに「自分たちのための備えだ」と積極的に参加をしてもらえるのか……。他の会社の皆様はどのように取り組まれているのでしょうか?
A56
BCPは「マニュアル」ではなく「対話」です
先ず初めに、BCPについて簡単に述べておきましょう。 BCP( Business Continuity Planの略)とは事業継続計画のことで、自然災害、システム障害、感染症流行あるいは人為的な緊急事態が発生しても企業の中核事業を継続・早期復旧させるための計画です。
その計画は、事業資産の損害を最小限に抑え、顧客や社会からの信頼を守り、事業の存続と成長を目指すための重要な経営戦略で、平常時の準備と緊急時の具体的な行動指針を定めるものです。
BCP策定の主な目的としては、①事業の継続、②顧客・社会への責任を果し信頼を維持、③企業価値の維持・向上などが挙げられます。
以下、総務部長としてBCP訓練を行うにあたって、考慮すべき重要事項について述べたいと思います。
訓練の必要性・重要性
自然災害や感染症、人為的危機事態など不測の事態、非常事態への対処は、人命救助、生活維持支援、社会インフラの復旧、事業継続などの観点から、すべてに優先すると考えるべきです。 私達は幾度となくこの様な危機状態を経験しているにも拘らず、依然として危機意識が薄弱な面が見られます。
この様な考えを打解して「治にいて乱を忘れず」「備えあれば憂いなし」という言葉を肝に命じて計画的に対処訓練をして、災事等を未然防止とは言わないまでも被害を極限して最小限の損害にする心構えが必要です。
私の自衛隊時代の経験から、実際に訓練したことのないことは、パニック状態の中で心手期せずして行動することは出来ないです。
そこに訓練の必要性、重要性があるのです。
BCP訓練を単なる「マニュアルの確認」だと思っている限り、現場の士気は一生上がりません。訓練を、組織の「詰まり」をあぶり出す実効性テストと定義してください。
現場が「忙しい」と言うなら、その忙しい最中に「もし今、システムが止まったら?」という問いを1つ投げてみてください。
現場が絶句すれば、それが「組織の詰まり」です。
BCP訓練を行うにあたり重要なこと
BCPは「もしもの時にどうやって会社(事業)を回し続けるか」を事前に考え、具体的に準備しておくための「会社版の防災マニュアル」と言えます。
何かが起こる前に、あるいは起きるかどうか分らないことに社員の時間と労力をかけて備えることは大きな決断が必要となります。
前述しました必要性・重要性に鑑み、会社ならびに社員(その家族含む)、そして顧客を守るためにも重要課題と捉えて準備を怠らないようにしましょう。
自然災害が増え、パンデミックなど思いもよらない事態が起こる昨今において、BCPマニュアルをまとめ、万が一に備えることは企業の義務であり、企業の社会的責任です。 また社会からの信頼にもつながります。
BCP訓練を行うにあたり重要なことは、以下の通りです。
- トップダウンで行う(トップの意思決定)。
社員への徹底により、実効性のある訓練を行いましょう。 - 全員参加を原則とする。
例外を認めると訓練に参加できない理由が出て、訓練が二の次となってしまいます。「災害は人を選ばず」なので全員参加が原則です。
(但し、計画的、段階的訓練を行う場合で主要な人の参加に限ることもある) - 年度計画により定期的に反復して行う。
- 災害対処の訓練は他の業務と同等あるいはそれ以上に重要であることを全社員に徹底する。
総務部長として社長の命をいかに具現するか
あなたは、社長から「災害や不測の事態に備え、実効性あるBCP訓練を定期的に行え」と厳命されました。この社長の命令は実に時宜を得た(まだ災害が起きていないという点で)ことと言えます。
「災害は忘れた頃にやってくる」、いつ起こるか分らない災害に対して備えることはなかなか気の進まない社員もいると思いますが、事業継続のため、社員(家族を含む)、顧客を守るためには極めて大事なことです。
どんな立派なBCPを作成していても、この計画が有効に働いてくれる訳ではありません。
計画を社員に徹底し、計画に基づく訓練を行い、不備事頃などを洗い出し、より実効性のあるものにしなければ、いざという時に役に立ちません。
前にも述べましたが、実際の訓練を通して「心手期せずして」行動できる練度まで上げておかないといざという時に動けません。
そのため「訓練は何にもまして重要なこと」と認識すべきです。
社長(リーダー)の「断固やる」という意思決定があった訳ですから、社長のBCPに関する一番の補佐者であるあなた(総務部長)が社長の意図を体して今期の計画に織り込みました。あとは実行あるのみです。
現場の若い課長達からの消極的な意見、態度に対してあなた(総務部長)がいかに信念を持って断固実行していくかです。そのため、以下のようなことを考慮して実行して参りましょう。
- 先ずBCP訓練の意義、必要性、重要性(前述)を説明して、やらなければいけないことを理解させる。
- 訓練は年間を通じた計画を作成し、各計画はテーマを決めて実施し、出来る限り短切に終了するよう努める。
- 本訓練が社員の自主性、意思決定訓練にもなり、通常業務にも役に立つような訓練とする。
(参考)アメリス(株)では1回/月 位のペースでBCP訓練を意思決定訓練として実施し、日常業務にも通ずるように行っています。 - 訓練の内容について教訓事項を収集して計画の補備修正に役立たせる。
- 訓練は段階的に進め、個別訓練(各部課毎行う)と全社的な全体訓練などやり方を工夫して行う。
以上のような訓練を実施することにより従業員に共通の認識を持たせ、お互いの協同連携を図ることができます。
BCPは策定して終わりではなく、会社が存続する限り続いていく継続的な活動です。よって計画の更新とともに従業員への教育や研修も継続して行うことが大切です。
BCPの教育、訓練を続けることによって、従業員のレベルアップと、認識の共有を図り、BCPが会社に定着していくものと思います。
訓練においてはマニュアル通りにいかないことが多いので、訓練により実際の状況で役に立つかを検証する場として、決して完全を求めず多くの意見を参考とすることが重要です。
また、あなた(総務部長)自身がBCP訓練をやるのに「申し訳ない」という自信の無さは改めなければいけません。あなたの意思の弱さが部下達に伝わってしまいます。
断固実行するという信念を持って、社長の意思の具現化を図りましょう!!
BCP訓練に対するアメリス(株)の取り組み
※参考までにBCP訓練に対するアメリス(株)の取り組みについて述べたいと思います。アメリス(株)では、お客様からの要望により、実際にBCP作成、BCP訓練実施のアドバイスも行っています。また、社内では全従業員に意思決定訓練として1回30分のBCP訓練を行っております。
また、全社員防災訓練士の資格取得も考えております。
アメリス(株)では企業の社会的責任を果たし、信頼性向上に向けてより一層努力して参りたいと考えております。
今回のまとめ
- BCP作成及びBCP訓練は企業として行うべき必須のものと認識すべき
- 社長の命令・指示に基づき断固実行する気概を持つべき
- 従業員へのBCP教育訓練は継続して行うことが大切
板ばさみ相談室では皆さまからのお悩みを募集しております。
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回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
大寒を過ぎるとあちこちに春の息吹が感じられるようになりますね。草木の生命力には驚かされることが多いです。今から春の訪れを楽しみにしています。 これから皆さんも春を探しに出かけてみてはいかがでしょうか?
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