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事例紹介

事例インタビュー

株式会社エヌ・シィ・ティ様

株式会社エヌ・シィ・ティ様は、新潟県でケーブルテレビ、通信などの事業を展開するケーブルテレビ局。2023年2月頃から、社内の業務基盤整備のプロジェクトをスタートさせました。それはCX(コーポレート・トランスフォーメーション)の第一歩とも言えるプロジェクトでした。きっかけは、2020年4月に着任した工藤様本人が感じた違和感。社内の規程やマニュアルが十分に機能しておらず、新しく入社した人が周りから感じ取って学ぶしかない環境に疑問を持ったことから始まったといいます。

プロフィール

株式会社エヌ・シィ・ティ

常務取締役 総務部長 兼 経営企画室部長 工藤 富夫 様(右)

アメリス株式会社

代表取締役橘高 康朗(左)

※記事中の所属・役職名などは2024年04月取材時点のものです

1プロジェクトに至るまでの課題感
入社した人が、仕事の流れが一目でわからない

橘高 組織や業務に関する基盤を抜本的に整備したいと考えたのには、どんなきっかけがありましたか?
工藤様

私は2020年4月にエヌ・シィ・ティに着任後、自社について学ぼうと思いましたが、残念ながら業務の内容が体系的に書かれた文書がありませんでした。部分的に社内規程やマニュアルなどはあったのですが、それだけでは業務の一連の流れや、各部署が全体でどのような役割を果たしているのかなどを体系的に理解することは難しい状況でした。組織のこと、業務のことを十分に把握できず、自分自身が困ってしまったというのがきっかけです。

橘高 当時はどのように対応されていたのでしょう?
工藤様

まずは色々な会議に出席することにしました。人の話や仕事ぶりから想像し、さまざまな情報をつなぎ合わせ少しずつ理解しようと試みましたが、自分の拙さも手伝って遅々として進まず、体系的にまとまったものがないことの大変さを改めて実感しました。また、規程が更新されていないものもあり混乱する場面もありました。自分自身がこれだけ困っているので、おそらく自分以外にも入社後業務を覚えるのに苦労している人も多いだろうと感じました。

橘高 それは理解にも慣れにも時間がかかりますし、人によってバラツキも出ますね。具体的にこんなことを改善したい、と考えていた点などあれば教えてください。
工藤様

例えば、人事に関する規程のなかで、何かが起きたときにどう対処するかなどトラブル対応や人事上の罰則手続きについての規程は存在しましたが、人材育成や能力開発などに関する規程は十分に整備されていませんでした。この部分が整備されていないと「組織として」人を育てることも難しいと感じました。また、「何の」業務に「誰が」権限を持っているかをはっきりさせること、属人的だった知識を会社全体で共有できるようにすること、何人かが重複してチェックしている行為をなくすことなど、規程やプロセスを見える化し、体系化することで解決できると思われることがいくつも見えてきて、業務を効率化するためにも直ちに取り組みたいと感じるようになりました。

2プロジェクトの立ち上げと進行
1日研修、中間報告、最終報告の3段階

橘高 プロジェクトの立ち上げはどのように行ったのでしょうか?
工藤様

最初は現場へ声をかけました。「規程を作り、業務プロセスを整備しましょう」と。しかし、進めてみると現状の整理に関しては何とか行うことできたのですが、それ以上は難しい状況にありました。「もう少し余裕があればできるんだけど、今は難しい」という雰囲気でした。社員はみんな、「会社のため」「顧客のため」に目の前に山積みとなった業務で手一杯だったのです。

私自身、多くの社員が目の前の業務やお客様の対応に一生懸命に取り組んでいる姿を目にしており、規程やプロセスを体系的にまとめるところまでは手が回らないという状況も理解はできました。しかし、このまま目をつぶってしまえば、状況は一向に改善されないままです。やはり誰かが「業務の体系化」に取り組まねばならないという思いも強くなってきました。

橘高 現場は、その時どきの業務をこなしていかなければなりませんので「そんなことより目の前の業務を」と言われてしまうのは、どの企業でも“あるある”です。しかしそれは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなもの。対応しなければ、ずっと余裕は生まれません。
工藤様

そこで、社長に直談判することにしたのです。社長はすぐに「課題を見つけ解決できるのならば」と理解を示し「業務基盤整備プロジェクト」が始動することになりました。商流全体や組織全体の観点から課題を把握・管理することは非常に大切ですよね。

橘高 そうですね、課題がちゃんと見えてないと、「とにかくDXだ!」とわかりやすいものに手を出した結果、成果が出ない…なんてことになりかねません。本来は、課題に向き合わないまま、新しいものを導入することはできないはずです。ここから、アメリスも本格的にプロジェクトに携わらせていただいています。プロジェクトの全体的な進行についてお話いただけますか。
工藤様

最初に1日研修を行いメンバーにプロジェクトの説明を行い賛同してもらいました。その後メンバーは1週間に1回各自で業務のフロー図を作成し、自身の仕事を簡潔に説明できるようにしました。これは単にフロー図を作ることが目的なのではなく、プロジェクトを通じて真の課題を見つけ出し、取り組んでもらうことを目的としていました。そして、プロジェクト開始から2ヶ月後に中間報告会。中間報告で見つかった課題を踏まえて軌道修正等を行い、最後にまた最終報告会を設けました。

3重要だったポイントと成果
「なにがなんでもやり切る」という覚悟

橘高 プロジェクトを進めるうえで重要だったのはどんなことでしたか?
工藤様

もちろんプロジェクトメンバーのがんばりが一番です。社員が積極的に取り組まなければ、プロジェクトの成功はありませんでした。あとは、プロジェクトの責任者がフロントに立って、嫌われ役をやることでしょうか。プロジェクトを進める中で「本当に行う意味はあるの?」「なんで今なの?」という疑問の声が上がったのも事実です。しかし、そこで嫌われてでも「絶対に必要だ!」と言える人間がいなければならない。プロジェクトの先頭に立つ人間は「なにがなんでもやり切る」といえる覚悟が必要だと感じました。

橘高 そうですね。それを言える人が、社内にいなければ上手くはいかなかったと思います。逆に進行中、手応えを感じた瞬間はありましたか?
工藤様

手応えを感じたのは、中間報告を終えた後です。中間報告では、社員が日頃感じつつも言葉にしていなかった課題がたくさん出てきました。中間報告会がしっかり課題を吐き出す場となり、中には意見が割れる課題もありました。また、ある課題に対しては直接社長が「確かにそうだよね」と肯定的な反応を示してくれるものもありました。これは以前から弊社にあった風土で、現場の社員が上層部にも直接意見をできる風通しの良さ、これがより良い方向に作用したように思います。

橘高 プロジェクト後新たに始められた取り組みや、得られた成果についてお聞かせください。

工藤様

業務や組織について、項目ごとにオーナーを決めました。これまでは「誰が」という決まりがなかったので、属人的になったり誰も判断できないことが発生していたのですが、それがなくなりましたね。それから「誰が」とともに「いつまでに」も決めました。いつまでもダラダラチェックしたり変更していたりすると、結局何が最新のものか、正しいものか、わからなくなってしまうからです。ちゃんとした目に見える成果が出てくるまでには、まだしばらく時間がかかると思っています。業務や組織を変えるのも農業や漁業みたいに手間暇かけて、じっくり時間をかけてやるものでしょう?

橘高 本当にそうです。すぐ成果がでるものではなく、腰を据えて何年もかけて取り組むもの。経営層が腹を決め、失敗リスクも認識しながら続けていかないといけないですよね。
工藤様

やって終わりじゃない。続けて、そして現場が自走できるかどうかが大事だと思います。

4NCTとアメリスの関わり方
型通りのアドバイスより、ともに悩んで手を動かそう

橘高 アメリスは「プロセスのプロ」を掲げていますが、世の中にはプロセスの前段階での経営計画や改善計画を立てるようなコンサルティング会社もありますよね。今回のプロジェクト、パートナーとしてそのようなコンサルティング会社へ依頼しようと検討はしましたか?
工藤様

実は検討しました。ただ、そのようなコンサルティング会社だと、ある程度決まっている型があり既存資料をもらって終わりだったり、「こうするといいですよ」とアドバイスで終わってしまう感じがあり、自分たちの求めるものではない印象でした。一方で、アメリスさんは、経営の方針を実際の業務プロセスに落とし込むにはどうすればいいか、具体的に何をすべきなのかを示すだけでなく、一緒に伴走してくれるというのも最大の決め手でした。

橘高 一般的なコンサルティング会社だと、施策検討までは任せられるけど実行や浸透まで伴走してくれるところは少ないかもしれません。アメリスは、どのような点で期待・評価いただけたのでしょう。
工藤様

アメリスさんは、伴走と自律的組織を謳っていらっしゃいますよね。実際、プロジェクトを通じて一緒に悩み、手を動かしてくださったと感じています。型通りのアドバイスではなく、エヌ・シィ・ティの立場に立ちながら、一緒に試行錯誤してもらいました。

橘高 これを読んでいる企業に向けて、どのような企業にアメリスを勧めたいと思われますか?
工藤様

自社の内部に、強い意志とリーダーシップを持っている人がいて、本気で組織を変えようと思っている会社は、アメリスさんとともに試行錯誤する意味を見いだせると思います。コンサルティング会社に丸投げだったり、逆に現場が強すぎて目の前の課題に流されて個別最適に陥ったりするのはよくない。全体最適の観点に立ち、自分が矢面に立つ覚悟を持てる人になることが大事なんだと思います。今回のプロジェクトの活動を通じて、そうした社員が着実に育ちつつあると感じています。

橘高 本日はどうもありがとうございました!

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