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Q37
私の進め方の
何がいけないのでしょうか?

  • 2024-07-22
  • コンサル業 課長(30代)

コンサル業の会社で課長として勤めています。先日から他部署横断の新しいプロジェクトにおいて、初めてリーダーを任され、何とか結果を出したいと意気込んでいます。1ヵ月ほど前に初回のミーティングを実施して、それぞれの担当者にタスクを割り振りました。しかし、メンバーのうちAさんから期日までに報告があがってきません。なぜ報告をあげないのかAさんに確認したところ「他の業務が忙しくて、すみません」という回答で、私が依頼した業務もほぼ進捗していない状態でした。仕方なくAさんの遅れている部分は自らタスクを行ってカバーすることとし、代わりにAさんに別のタスクを依頼しました。
そして2週間ほど経ちますが、また報告がなく、かといって他業務がひっ迫している様子もないので、そろそろAさんにヒアリングしようと思っています。リーダーとしてプロジェクトの目的については初めに丁寧に説明をしたつもりですが、私の進め方の何がいけないのでしょうか。部長からも進捗報告を求められているのですが、すでに進捗が遅れているので気が重いです。

A37
中間報告要求・進捗確認を行うこと

リーダーとしてのあなたのプロジェクトのスタート(タスクの割り振り)は良かったと思います。しかし、問題は以下にあります。

  1. 期日までにAさんから報告がないこと
  2. 出来ない理由が「他の業務が忙しい」ということ
  3. 遅れた部分を自分がカバーしたこと
  4. 代わりにAさんに別のタスクを依頼するも2週間経っても未だ報告がないこと

ここで今一度プロジェクトとしてなすべきことは何か、基本に立ち返ってみましょう。当然最終の目標は、プロジェクトリーダーとして任された業務の完遂ですが、それに至るまでのプロジェクトメンバーへの作業指示(これは出来ていますが)、作業の進捗状況の確認、そして順調に進んでいない場合の原因の究明、メンバーの作業内容の変更(必要に応じ)、場合によってはメンバーの増員の要求検討など、プロジェクトリーダーは全体を通して管理しなければなりません。それがプロジェクトリーダーの最も重要な責任です。

参考までに、全体計画の進め方の基本的な一例を以下に記述します。必要により、取捨選択して全体計画を作成して下さい。

<プロジェクトの全体計画の進め方>

  1. PJの目的、目標、及び重要性、必要性の理解、徹底
  2. メンバーの選定、招集
  3. リーダーとしての方針の明示
  4. 各人への任務の付与及び最終報告期限を明示(特に中間報告も要求)
  5. 中間段階での進捗状況をリーダー自ら確認
  6. 状況により任務と所要の変更の実施
  7. 実行確認
  8. 完了報告受け
  9. 成果物の確認、まとめ
  10. プロジェクトリーダーとして上司等への最終報告の実施

以上、基本的事項を理解したうえで、本題に戻りたいと思います。

まず、「他の業務が忙しくてすみません」とは言語道断です。「忙しい」を理由にプロジェクトのタスクが出来ていないのは、無責任極まりない行為であることをAさんに知らしめなければなりません。Aさんは本プロジェクトのタスクが他の業務より優先度、重要度が低いと考えている可能性があります。それを許している会社の風土及びプロジェクトリーダーであるあなたにも責任があると認識する必要があります。

ここで重要なことは、リーダーとして、中間段階での報告要求と作業進捗状況の確認を行うことです。作業指示をしたら、必ず“何をいつまでに”と報告を求めるのです。

やらせっぱなし、気付いたら「やっていない」、しかも理由は「忙しい」。これではリーダーとしてのあなたの責任を問われても仕方ないと思わなければいけません。それがリーダーたる者です。勿論、やっていないAさんも責任を免れるものではないのは言うまでもありません。

次に、Aさんが遅れた部分をリーダーであるあなたがカバーしたことも問題です。リーダーが命じたこと(指示したこと)は最後まで本人にやらせる覚悟が必要です。もし、あなたがカバーするのであれば、最初からあなたがやれば何も問題なく済んだはずです。組織的活動のためには、リーダーはメンバーに最後までやらせる意思の強さを持って臨みましょう。

さらに問題なのは、代わりにAさんに別のタスクを依頼し、2週間過ぎても未だ報告がなく、同じ轍を踏んでいるということです。これはAさんが悪いというより、依頼したあなたの指示の出し方、タスクの進捗確認などに問題があると言わざるを得ません。

リーダーとしての役割・責任は何か、今一度考えてみましょう。

  1. いかなる理由があろうとも全責任はリーダーにあるという心構えを持つこと
  2. 中間における実行状況の確認を怠らず、中間段階における報告要求をすること
  3. 不測事態には常に融通性をもって対処する準備をしておくこと

本題のようなことが往々にして起こりかねませんので、途中段階においても柔軟に対処できるように準備と対応を常に考えておき、突発的自体にも慌てず騒がず沈着冷静な行動をしていただきたいと思います。今回初めてのリーダーということですので、ここで学んだことを活かして、これからさらに活躍されることを期待しています。

今回のまとめ

  • プロジェクトリーダーは、プロジェクト全体を管理する責任を負うもの
  • プロジェクトリーダーとして中間段階での報告要求と作業進捗状況の確認を行うこと
  • 一度指示したことはメンバーに最後までやらせるという覚悟が必要
担当者コメント

作業指示の基本動作として「指揮道➁ 基本動作」のコラムもぜひ読んでみてください。

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

今は蓮が見頃を迎えています。日常の板ばさみ状態から解放され、季節折々の花を愛でてみるのも休日の良い過ごし方ではないでしょうか。

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