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Q46
新入社員との会話にドギマギ
- 2025-04-21
- 営業職 リーダー(30代)
新入社員が入ってきて、自分の課にも、Z世代の若者が配属されました。業界全体で離職率が高い中、部長や人事部からは「新人教育に力を入れるように」「人間関係を良好に」と厳しく言われています。新入社員に話しかけてはみたものの、業務的な内容にとどまり、あまり会話が広がらず、距離が縮まりません。
直属の課長に相談したところ、「飲みに誘えばいいんだよ」と言われています。相談に乗ったり、助けたりしたい気持ちはあるのですが、私はそういう世代ではないし、飲み会もそんなに好きではありません。こういうご時世ということもあり、発言の一つひとつにも気を使います。私は新入社員と、どのように距離を縮めればよいのでしょうか?
A46
Z世代を特別視せず、特徴を知ることが第一歩
質問の文面からしますと、あなたはZ世代の新入社員に対して、過度に敏感になっているような気がします。Z世代を「特別な存在として、何とか対応しなければならない」と構えすぎているのではないでしょうか。上司や人事部から「早く仲良くなって、コミュニケーションを取るように」と言われたことがプレッシャーとなり、必要以上に意識してしまっているのかもしれません。 また、「相談に乗りたい」「助けたい」という気持ちはあるものの、「自分はそういう世代ではない」「飲み会も好きではない」といった言葉からは、少し投げやりな印象や、諦めに近い感情が伝わってきます。もちろん無理をする必要はありませんが、あくまでも基本は「自然体で向き合い、寄り添う」という心構えで良いのです。
あなたは、Z世代に対して過度に意識したり、指導に対して諦めの気持ちがあったりするようですが、これを克服するにはどうすれば良いのでしょうか?一緒に考えて、その解決の糸口を探っていきたいと思います。
かくいう私も、Z世代について十分理解しているわけではありませんので、勉強していきたいと思います。
解決のためにまず第一は、「Z世代の特徴を知ること」だと思います。私自身、特にZ世代を意識したことがありませんでしたので、 Z世代について改めて考え、調べてみました。 読者の皆様の参考になればと思い、以下記述致します。
Z世代とは?
Z世代は、1990年代半ば(現在30歳前後)から2010年代序盤(現在12~13歳程度)に生まれた世代を指します。彼らは、インターネットやスマートフォンを日常的に使いこなす「デジタルネイティブ世代」とも呼ばれ、次のような特徴があるそうです。
主な特徴
- 多様性を重視する
- 社会問題や環境問題に関心が高い
- 情報リテラシーが高い
- 自分らしさや個性を大事にする
- 共感・共有を大事にする
- タイパ(タイムパフォーマンス)重視の効率主義である
- 強い仲間志向。家族や友人などのつながりや仲間を大切にする傾向がある
- 仕事よりプライベート重視でワークライフバランスを重視する傾向がある
- 娯楽や経験に価値を見出す傾向がある
- 他社との競争よりも自己実現や社会貢献に対する欲求が高い
また、Z世代の価値観の背景には次のようなことが上げられます。
- インターネットやSNSを通じてリアルタイムで世界の情報を知る機会が多い
- 少子化による人口減少世代であるため、上の世代のような厳しい競争を経験していない
- 生まれた頃から経済の低成長時代が続いている
- 幼少期からモバイルデバイスやSNSを使いこなし、常に膨大な情報にアクセスできる環境で育った
さらに、Z世代の働き方の特徴としては
- 協調性に富んで、人あたりが良い。若者らしさがある
- 責任を引き受けたり、積極的に行動したりするのを控える傾向がある
- 人間関係では上司や部下というタテのつながりより、同僚等のヨコのつながりを重視する
以上のような一般的なZ世代の特徴を理解した上で、Z世代との関わり方や指導のポイントを考えて参りましょう。
Z世代との関わり方・指導のポイント
Z世代は良い点がたくさんあり、非常にすぐれた能力を持っています。Z世代との関わり方としては、対話や傾聴をベースに、多様性を尊重するスタンスが大切だと思います。また、業務の目的や意義を明確に伝え、成長を促すことが重要です。次のような点に留意しましょう。
- コミュニケーションにおいては相手の考え方を尊重し、対話やフィードバックを積極的に行う
- 指示出しは、根拠のある指示で、かつ目的や意義を明確に伝える
- 評価する場合は、褒めて自信を持たせ、感謝や称賛の気持ちを言葉で伝える
- 育成においては自分で考え行動できる人材を目指し、キャリアの自律を促す
- ワークライフバランスに配慮した職場環境づくりを行う
指導のポイントとしては次のようなことに配慮しましょう。
- 目的を明確に伝える:なぜこの作業が必要か、この仕事が何の役に立つのかを説明する
- 誠実な視点で関心を持つ:「あなたを理解したい」「あなたに貢献したい」という気持ちで接する
- 個人の一人ひとりの声を尊重する:傾聴を心がけ、相手の考えや思いに耳を傾ける
- 感謝や称賛を言葉にして伝える:適切な指導・指摘で、成長に向けた次なる課題への取り組みを促す
- 新入社員と育成担当者の関係を強める:本人との対話を推進して、その人の強み・価値観・ありたい姿を理解する
一般的な回答になってしまいましたが、Z世代を指導する際には、次のような点に注意して下さい。
- 叱責による育成は避ける
- 過度に失敗を責めない
- 考え方や価値観を否定しない
- こちらの価値観を押し付けるなどの強制は避ける
個人を尊重し、多様なアプローチを
Z世代の特徴、価値観の背景、働き方の特徴を把握して、Z世代との関わり方や指導のポイント・留意事項を述べました。言葉では簡単ですが、実践するとなると、「そんなことは出来ないよ」という声が聞こえてきそうですね。
私は、Z世代のことをあまり意識していませんでしたので、今回の質問は、私自身大変勉強になりました。Z世代に対して、このような知識を持って新入社員に向き合い、いかに働きやすくかつ働く喜びを得られるようにするかに重点を置いてほしいと思います。教育や指導に、特に正解があるわけではありませんので、あなたらしく自信を持って、あきらめず誠実にZ世代に向き合って下さい。
今回の質問で私は、Z世代は決して特別な存在ではなく、コミュニケーションの基本的事項をマスターしていれば、どの世代にも通ずるものであると思いました。
そもそも「Z世代だから」「そうではない世代だから」と分けて考えなければいけないものなのか、疑問を感じた読者の方もいるかもしれませんね。
今回の回答を整理しますと、まず、Z世代の基本的な特徴を知ることから始め、過度にZ世代を意識しすぎずに、自分自身(指導者、教育担当者)が指導能力、コミュニケーション能力のスキルをアップする努力を継続することが重要です。では、どのように距離を縮めるか。それは、個人の個性を重視して今まで述べたことを参考に、多様なアプローチをして、相手のことを知る努力をすることだと思います。
相手のことを知るために、簡単にできることを一つだけ述べたいと思います。
それは「質問をする」ことです。相手に、仕事のこと、将来のこと、趣味のこと、出身地のこと、何でも良いですから、質問してみて下さい。質問することにより、コミュニケーションが取れて、相手を知ることができ、仲良くなる糸口になるかも知れません。
以上、とりとめもなく述べましたが、少しでも参考になることがあれば幸いです。
今回のまとめ
- Z世代を特別視して過度に意識しすぎない。ただし、Z世代の特徴を知る必要はある。
- Z世代に対する指導のポイントは、すべての世代への指導に活かせるものである。
- 対話や傾聴をベースに、業務の目的や意義を明確にして、成長を促す誠実さをもって接する。
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回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
「自滅」という言葉がありますが、自分は上司、仲間から認められていないのではないか、評価されていないのではないかと勝手に思い込み、自信、やる気をなくして落ち込んでいく状態です。そんな時に思い出しましょう。「他人はあなたのことを考えている暇なんてありません」「誰もあなたのことをダメだとは思っていません」と。
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