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中間管理職板ばさみ相談室
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Q48
「至急、AIを使った施策を何か考えろ」
と指示されてしまった!
- 2025-06-23
- 不動産業 ITシステム部 課長(40代)
私はITシステム部の課長です。
先日の部内会議にて、ITシステム部長から、「3ヶ月以内にAIを活用した施策を企画すること」と指示がありました。
AIについては詳しくないのですが、とりあえずAI関連のウェビナーを見たり、展示会に行ってみたりしたものの、何を企画すればよいのかわからず時間だけが過ぎていきます。部下に「AI活用の案を出すように」と指示をしてみたものの、Chat GPTを使って作成したような案を出してくるだけで、当社の来期以降の方針や足元の課題に対応したものになっていないような気もします。それを部下に指摘しても、同じような案を繰り返し出してきて、時間だけが過ぎていきます。
部長への企画提出の締め切りが近づくなか、いったい何から考えたら良いのでしょうか。
A48
まずは思考過程をフロー化し、解決の糸口を探る。
創造的な仕事に喜びと意志を持つこと!
「至急、AIを使った施策を何か考えろ」という指示、困りましたね。
この種の指示はよくあることではあります。何か雲をつかむような話で、結局は無から有を生むような仕事を命ぜられた訳です。
私自身、この相談を受けてどう答えるべきか悩みました。質問が余りにも漠然としているので…
本質問のように創造的な思考が必要な時には、先ず題意を分析して、結論に至る思考過程を確立して、抽象的なものから具体的なものを導き出す方法が有効と考えられますので、今回は思考過程(問題解決に至る考慮要件を明らかにして、目的・方針を導き出し、結論に至る一連の流れ)を呈示して、問題解決のための糸口を明らかにして、参考に供したいと思います。
今現在のあなた又は会社の置かれた状況で、AI導入ができるような状態になっているのでしょうか。先ずAI導入のためには、「何のために」という導入の目的を明確にしなければなりません。
その目的が決まったら、「何をいつまでに、どのような手順で行うか」、そのための実行計画(業務予定表)を作成する必要があります。
これらをまとめた思考過程の一例を以下に示したいと思います。
以上、思考過程の一例を示しました。これを参考として、さらに AI導入について考慮すべき事項をいくつか述べて参考に供したいと思います。特に、将来の会社の方向性を考慮することは重要です。
- AI導入のための準備(アメリス株式会社「ミニガイドブック」より一部引用)
最初に取り組むべきことは「AI導入に向けたあるべき姿」を目指した「業務の整理」です。
<AI導入に向けた「あるべき姿」>- 業務が可視化、標準化されている
- 役割や権限が明確である
- 情報の共有環境が整っている
業務の整理といっても、AIに動いてもらうわけですから、業務を「仕組み」とするための整理(=仕組み化)が重要です。人もAIも仕組みなしには効率的には動きません。
- 自社の業務でAIを使って効率化できる可能性のある業務の洗い出しは必要です。
- AI専門家を活用したAI技術の修得
- AIに対するアレルギーからの脱却
- 仕事への活用法の列挙なども有効
- AI活用法の施策の企画にあたって先ずAIの活用法を学び、AIはすべての産業に変革をもたらす可能性が大きいことを認識して、AIの使い方を考慮する必要があります。
最後に提案として、AI活用プロジェクトの立ち上げは有効だと思います。
と言いますのは、本質問のように課長一人で会社全体のAIを使った施策を考えるのは、やや無理があるように思えるからです。
以下、AI活用プロジェクトの立ち上げの一例です。
期間は3ヶ月で、先ずは情報収集をおこなう。「目的」「PJリーダー」「メンバー」「期間」を明らかにして実行計画を作成。そして、AI活用施策の検討実施し、中間報告、最終案を作成のうえ部長、社長へ報告をおこなう。
不動産業におけるAIを使った施策ですが、誠に残念なことに私自身、不動産業を理解できていない上、AIについても無知です。今回は、私にとりましてはかなりの難問でしたので、期待には十分応えられませんが、賢明な皆様の御理解をよろしくお願いします。
くれぐれも小手先の効率化に終わらないように、あくまでもAI導入が目的ではなく、本質的な成果である業務の効率化・新たな価値創造・競争力の飛躍的強化などを生み出すために、戦略的、人材・組織開発、業務改革など統合的取り組みであることを常に念頭において施策を推進していただきたいと思います。
今回のまとめ
- 難しい指示をされた場合、先ず思考過程を考えて、フロー化して問題解決の糸口を探す。
- 無から有を生むような創造的仕事に喜びと意志を持って取り組む姿勢を忘れない。
- AI導入のための施策は準備を十分にして、くれぐれも小手先の導入にならないように本質的な効率化を求めて欲しいものです。
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回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
5月 のバラの季節が終り、ハナショウブが咲き誇っていますが梅雨の時期はあじさいですね。散歩がてら季節折々の花を見るのが楽しみです。
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