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Q43
穏便に効率化せよという社長

  • 2025-01-20
  • 製造業 経営企画部 部長(40代)

メーカーで経営企画部の部長をしています。マーケットや親会社からは成長を求められていますが、この10年でできる限りの削減や改善はし尽してきました。ここから先、成長するには、不採算な事業を廃止して新たな事業に人や資金を振り向けるなど、大胆な改革や変革が必要だと思い、一度そのような案を出しました。すると社長は「影響が大きすぎる。もう少し別の案を考えろ。」と再考を指示されました。

デフレ下では現状維持でもどうにかなっていましたが、物価が上昇している現在、社員の給料も上げてあげたいし、資材や燃料費アップに対応するためには事業成長に向けた挑戦の「次の一手」を打たなければならないと思っています。痛みやリスクを避けたがる社長の下で改革するには、私はどう進めていくのがよいでしょうか。

A43
現状維持は衰退であると認識させるべし

会社の現状、つまり「この10年でできる限りの削減や改善はし尽した」ということからして、今後の会社の存続発展を考えると、経営企画部長であるあなたのおっしゃる通り、大胆な改革・変革が必要であることは自明の理です。ただ社長が言われるように、不採算部門の事業の廃止や新事業への人や資金の投入は、会社の大きな戦略の変更であり、確かに影響も大きすぎるかもしれません。
そこで、現状の変化を好まない、痛みやリスクを避けたがる社長の下で、経営企画部長としていかに改革を進めていくか、大変なこととは思いますが、あなたの改革に対する意欲に対して、私は直接お手伝いできませんが、心情的にはとても好感が持てて、応援したい気持ちになります。それではどうすれば良いのでしょうか?
まず、性急な変更は今まで旧態依然として波風立てずに過ごしてきた会社の体質から考えると皆がついてこられないので、社長は「もう少し別の案を考えてほしい」と言っているようです。改革に全く反対ではないからと感じます。そこであなたは改革のためにどうすれば良いかですが、以下基本的な3つの考え方を呈示したいと思います。

  1. 多くの人へ根回しをすること
    改革の必要性を社長以下に理解させる努力をすることです。そしてあなたの案の賛同者、理解者を増すことです。
    根回しというと、何か策略を巡らすような印象を持つ方もいらっしゃると思いますが、根回しは樹木の移植のため、または果樹の実りをよくするため、根元の周囲を掘り、主な根以外の大部分の根を切っておくことです。そこから、「ある目的を実現しやすいように関係する方向にあらかじめ話をつけておくこと」という意味で使われる大事な考え方の一つです。
  2. 軟着陸できるような戦略的発想を持つこと
    今までできなかったことを急に短期的に行うには無理があるかも知れません。長期的・中期的に変革を推進していく大きな構想・計画をつくることです。改革の全体計画を作成し、それを基にして、できるところから実行に移していくことが重要です。
    戦略的とは、物事を大局的に、長期的に、客観的に思考することです。
  3. 改革に対する強い志(意志)を持つこと
    あなたが「会社のため、従業員の幸せのために改革する」という純粋な真意が伝われば強い支持が得られるでしょう。現状維持は衰退であると認識することです。改革、つまり現状変更をしなければ、会社は衰退の一途をたどるでしょう。それをあなたが一番分かっていると思います。
    話は少し飛躍しますが、あの明治維新を成し遂げたのも、ごく少数の志を高く持った志士でした。そのような強烈な理想実現に向けた志を持った人々が、改革には必要だということです。

以上述べましたが、あなた(部長)の大胆な改革案を上記の3つに照らして再考され、ぜひとも実行してほしいと思います。そうしなければ「現状維持=衰退」となるでしょう。

意識改革待ったなし。戦略的発想や外部の活用を

ただし、社長のおっしゃる社員への影響なども否定できないのも事実です。影響を最小限にするためには、簡単ではないでしょうが、地道に社員の意識改革を図っていく努力も必要になります。いわゆる社員教育、いやそれ以上に上層部(経営陣)の教育も計画的に実施すべきです。

経営企画部長として「次の一手」を打つために考慮すべきことを以下、まとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。

  1. ①社長の説得の継続
  2. ②社内の主要な人を巻き込み、あなたの考えに賛同する人を増やす
  3. ③機会あるごとに、会議の場、社内教育などで、改革の必要性・重要性を発信する
  4. ④改革の全体像を作成し、今後の改革実行の手順を決める
  5. ⑤第三者の力を借りる。部外有識者、親会社の方、社内で社長へ影響力のある人を活用する
  6. ⑥あなた自身、会社の発展、従業員の幸せ(処遇改善など)のために、改革の信念を貫く強いリーダーシップを発揮する

一般的な回答になってしまいましたが、改革は「痛みを伴う」ものです。経営企画部長としてのあなたの改革への強い思いを心から支持いたします。今、改革しなければ、5年後、10年後の未来の成長はないと思います。「次の一手」にチャレンジしてください
益々のご活躍を期待しています。頑張ってください。

今回のまとめ

  • 多くの人の賛同を得るためには、「根回し」は必要、かつ重要である
  • 大局的、長期的な考えを持った戦略的発想は重要である
  • 物事を為すためには、担当者の強い意志・リーダーシップの発揮は重要である

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

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