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Q40
オペミス意識が低くて困る

  • 2024-10-21
  • シェアードサービス事業 営業部(40代)

シェアードサービス会社で受託部門の部長をしております。

私の部では、毎月大量の請求書をお客様に発行する業務をしておるのですが、毎月10件前後のオペレーショナル・ミス(オペミス、事務過誤)が発生します。
請求書は担当者が書類を作成し、チェック係がチェックしたうえで、最後に課長が承認の上で郵送しているのですが、どうしてもオペミスがなくなりません。
ミスの内容は以下など何種類かあります。
課長によると、原因は「担当者の人数不足」ということだったので、最近担当者を一気に増やしたのですが、ミスは一向に減りません。
ミスといっても、内容はいくつかあり、主なものは以下です。

  • 単なる転記ミス
  • 営業担当者から営業事務への連絡漏れ(前月の契約変更や住所変更等を情報共有していない)
  • 期日管理漏れ(契約終了に気づかず、前月同様に請求)

毎月、オペミスがあるたびに反省ミーティングをしているのですが、課長以下、皆他人事です。
課長は担当者のせいにしており、担当者は「次から気を付けます」と言うだけで、皆意識が低いです。

経営からは「何とかしろ」「システム化すべきではないか」「人数を減らせ」等、様々なことを言われますが、いずれにしても、課長や担当者の意識が低いため、部内での議論が進みません。
まずは、部内の皆のオペミスに対する意識を上げるべきと考えているのですが、何かよい打ち手はないでしょうか?

A40
「オペミスが起きる現状」をどう捉えるか?

本質問を読んで驚きました。
毎月10件ものオペミスが発生しているにも関わらず、解決できないとは……
一応段階を踏んでチェックしているもののオペミスがなくならないのは、何故でしょうか?

オペミスの内容が「転記ミス」「連絡漏れ」「期日管理漏れ」等、あまりにも初歩的な不注意、関係者同士の連携不足ですね。
最終的な承認者である課長は、課長としての役割を到底果たしているとは言えず、その責任は重大です。

また、課長や担当者の意識が低いため、部内での議論が進まないと言っているあなた(部長)もこのオペミス発生の責任を免れません。

経営者には「何とかしろ」と言われ、あなた(部長)は「何とかしなければ」と思っているにも関わらず打ち手が見出せない。単なる人数の問題でもなさそうです。

オペミスの発生を軽く考えている印象さえ持ちます。
オペミスの発生防止に対する課長以下担当者の意識が低いのも問題です。

もし、このようなミスが会社の重大な品質事故あるいは人の安全に関わる事だったら、会社あるいはあなた(部長)はどのような手を打ちますか?
オペミスは会社の信頼に関わる重大な問題ですから、皆無に向けて早急に手を打ちたいものです。

本質問からは、「全社的に何かが欠けているのでは」という根の深い問題があるような感じを持ちました。単なる顕在的なオペミスが多いというだけではなく……

つまり、責任転嫁・他人事・無関心・向上意欲や愛社精神の欠如を感じるのは私だけでしょうか?

さて、本論に戻りましょう。
本オペミスをなくすために実行すべき事項は、以下の通りです。

  1. 意識改革
    まずは、オペミスに対する「事の重大性」を認識させなければなりません。日頃から教育研修を継続して行い、オペミスに対する考え方を変える必要があります。
  2. 最終承認者である課長の指導
    課長を指導できるのは、あなた(部長)しかいません。どうしてもダメな場合は、適任者の配置など具申するのも一つの方法です。
  3. 根本原因の究明・組織的な問題解決
    今のままではオペミスはなくならないので、原因の徹底究明をする。場合によっては、オペミス絶無のための短期プロジェクトの立上げにより問題解決を図る。
  4. 全社教育・予防策の実行
    全社的(関連他部署)に基礎的な教育研修により、自己責任の原則などを習得させ、連絡漏れ・管理漏れをなくす方策を実行する。
  5. 改善・再発防止に向けた定期的な取組み
    オペミス発生の都度、徹底した原因究明をする。あるいは、定期的なオペミス改善のための会議を行う。

以上が、部長としてのあなたが実行すべき事項です。

どれを採用して実行するかは、お任せするとして、更に大事な視点があると私は思っています。それは、あなたの現状に対する考え方・見方です。
すなわち、「本オペミスが起きる現状」をどう考えるかということです。

この現状を、会社として、部長として非常事態と考えるかどうかにより、打ち手も大きく異なってきます。
非常事態と考えて、どうしても直ぐにオペミスをなくさなければならない事態であれば、時として荒療治も必要になります。
荒療治とは、非常時のリーダーシップを発揮して短期に問題を解決する方法です。
この場合、会社あるいはあなたが本オペミスの事態を重く見て行動に出ることです。
すなわち、統制を強くして、強制力を発揮することです。「強いリーダーシップ」が求められます。指導力が問われます。

例としては、

  1. 関係者を緊急集合させ、事の重大性を認識させ、リーダーとしてのあなたの強い意志(オペミス絶無)を示す。
  2. 本問題解決のための短期プロジェクトを立ち上げ、自らがプロジェクトリーダーとなる。
  3. 人事異動等により、関係者(課長・担当者)の交代あるいは賞罰の規程により痛みを伴う解決策を考える 等々……

以上のように、本オペミスの事態をどのように考えるかによって「打ち手」も変わってくるということを知ってください。

今までの延長線上で解決が図れるのでしょうか?
部長としてのリーダーシップの発揮がまさに問われていると考えるべきだと思います。
課長以下の担当者がダメだと言っている間は解決しません。
あなた(部長)が行動を起こしてください。

改革(改善)にあたっては、「現状をどう考えるか」はとても重要なことです。
それにより、対策(打ち手)が大きく変わります。

ちょっと大袈裟になりますが、織田信長的なリーダーシップでいくか、徳川家康的なリーダーシップを発揮するか、その中間の豊臣秀吉型でいくか?
これは、まさに現状認識から始まります。

終わりに、どうも体質的に(社風的に)ぬるま湯的な状態を感じます。
強いリーダーシップを発揮して現状打破を図り、部長としてあなたが「オペミスをなくす」という方針を徹底していくことが重要だと思います。
オペミスが起きているというのは、他人事ではなく自己責任だと思ってください。

オペミスの絶無に向けての施策(打ち手)を、期待しています。

今回のまとめ

  • 「オペミスが起きる現状」を、会社として、部長として非常事態と考えるかにより、打ち手が大きく異なってくる
  • 部長としてのリーダーシップの発揮が問われており、他人事ではなく自己責任として行動すること

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

・現状をどう見るかによって打ち手は異なる
・物事は先ず自分の責任として考える(自己責任の原則)
・時として、強いリーダーシップを発揮して問題の早期解決を。

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