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Q51
部長を業務改革に巻き込めない
- 2025-09-16
- 金融業 課長(30代)
私は入社10年目で金融系の会社でフロント業務を担っています。今年から社長直轄で全社的な業務改革プロジェクトが立ち上がり、そのリーダーとして10人ほどのメンバーと一緒に業務効率化に向けた取り組みを進めています。
経営陣からリーダーとして任命され、意見が分かれるメンバーをまとめながら何とか進めてきたのですが、上司の部長陣が蚊帳の外の雰囲気で他人事です。プロジェクトチームは各部署から寄せ集められたメンバーなので、上司はそのチームには入っていません。
先日もプロジェクトで決まった業務の変更内容を説明したところ、「まだやっていたのか」などと興味がなさそうな発言がありました。私だけでなく、メンバーも本業で忙しいながらも組織全体のために一生懸命取り組んでいるのですが、言葉がけの一つもありません。会社として良い方向に進むためには、部長陣の心に火がつくことが不可欠と考えるのですが、どのように働きかけたらよいでしょうか??
A51
志ある人の「本気の熱意」が、改革を成し遂げる
社長直轄の全社的な業務改革プロジェクトのリーダーにあなたが任命され、10人ほどのメンバーとともに業務効率化に向けた取り組みをされていること、誠に重要なことと思います。
あなたが社長以下経営陣から白羽の矢が立ったものと推測します。しかもメンバーも本来の業務を持ちながら、組織全体のために一生懸命取り組んでおられることは実に素晴らしいことですね。是非ともメンバーで力を合わせて、会社の将来のために頑張って下さい。
その様な中で上司の部長陣がこのプロジェクトに無関心なようです。無関心どころかメンバーのやる気を削ぐような言動さえ見られるのは本当に困ったものです。
一般的に、部長クラスの中に新しいことにチャレンジしなくなったり、あるいはやる気のある若手の足を引っ張るような人が少なくありません。いわゆる現状維持で改革を望まない傾向や、自己保身的な人です(但し、この例は貴社のことを言っている訳ではありませんので悪しからず……)。
部長陣のこの様な改革を望まない態度が往々にして会社の将来的な発展の阻害要因となることもあります。
本質問における部長陣の問題を整理すると以下のようになりますね。
- 経営陣が全社的課題として本プロジェクトを立ち上げているにもかかわらず無関心
- 積極的に支援するどころか興味のないような、やる気を削ぐ発言
- 会社をより良くしていこうという意欲があるのか疑問
そこで先ず最初に部長として「本来あるべき姿」・「考え方の基本」を述べたいと思います。本質問は「部長としてどうあるべきか」に答える質問ではありませんが、社長の補佐役である部長の基本的なあり方を理解していない人が結構多いために、質問にあるような問題がしばしば起きているような気がしますので、以下述べて参考に供したいと思います。
<部長としての基本的あり方・考え方>
部長は「社長の補佐役」であることの自覚を常に持つ。
- 社長意図実現のため全力を尽くす。
- 自分の部の業務に関係なく、会社の業務に協力し、その達成に尽力する必要がある。
- 自分の部下の業務に常に関心を持ち、指導、助言をする立場にある。
- 社長に対する意見具申を適時に行う。
このような考え方を部長が持っていると、質問にあるような部長陣の問題は自ずと解決すると思います。しかしながら、部長の考え方を変えることは直ぐには出来ません。
プロジェクトリーダーとして、あなたが部長陣の心に火を付けるためにはどうすれば良いかということになります。特効薬はありません。社長から部長陣に「本業務改革プロジェクトの意義・必要性・重要性」を述べてもらい、本プロジェクトに積極的に協力、助言、指導をするように強く訴えて頂くのは良いと思いますが……
あなたとしては、なかなか難しい問題ではありますが、根気よく地道に努力していくしかないと思います。部長達への働きかけとして、そのいくつかを以下述べたいと思います。
- 本業務改革プロジェクトの意義・必要性・重要性を明らかにして(文書化して)、事ある毎に反復して啓蒙していく
- 本プロジェクトは社長直轄であることを強調する他、将来の会社の発展のためには社員全員が関心を持つべき重要な事項であることを認識させる施策を実施する。
- プロジェクトリーダーであるあなたとメンバーが、改革への意欲・熱意を持って取り組んでいる姿を見せる。
- 部長達の関心の有無に関わらず、都度(結節時)、部長へプロジェクトの進捗状況を報告する。又、部長の意見を頂く場を設定し、参画意識を深める。
- 本プロジェクトを進める上での阻害事項などがあれば、上司(部長)あるいは社長に報告して是正して頂く。
等々。
先ほども述べたとおり特効薬なるものはありませんが、あなた方プロジェクトメンバーのやる気と熱意が一番重要だと思います。決してあきらめることなく、改革プロジェクトを進めて下さい。
話は大きくなりますが、あの明治維新を成し遂げたのも、わずかな「勤皇の志士」達でした。ほんの少しの志ある人の熱意・努力・行動により、改革は成し遂げられるのだという証明でもあります。
いずれにせよ「熱意は人を動かす」ことを信じて、メンバーが一致団結して成功に導くことが重要です。部長の考えを変えることは出来ません。あなた及びメンバーが本プロジェクトに本気で向き合う姿勢こそが最重要です。たとえ、部長達がどうあろうと……。
その熱意によって部長陣にも気づかせて、積極的協力が得られるようにしましょう。本プロジェクトを通して、あなた達メンバーの本気度を試されていると考えましょう。
まして、本プロジェクトは社長直轄なのですから、必ずや色々な抵抗も排除して頑張れるものと確信しています。頑張ってやり切りましょう!!
今回のまとめ
- 社長の補佐役である部長の「あるべき基本」を学びましょう。
- プロジェクトリーダーとしてメンバーとともに「改革への熱意」を持ち続けましょう。
- プロジェクトメンバーの本気度を試されていると思い、頑張りましょう。
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回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
9月に入りました。例年になく暑い日が続いていますが、秋は人々にとって豊かな時期だと思います。「読書の秋」「実りの秋」「食欲の秋」等々、山や海など自然の中で情緒豊かな秋を楽しみたいものです。
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