Skip to content(本文へジャンプ)

中間管理職板ばさみ相談室

板挟みの悩み多き中間管理職。あなたの悩みが、みんなのヒントに!?
1000人規模の自衛隊の元指揮官、大企業の顧問を長年経験した組織運営のベテランが、
あなたのお仕事の悩みにお答えします。

NEW

Q59
AIのアウトプットをそのまま出してくる若手社員に疑問

  • 2026-5-18
  • 広告業 部長 50代

私はディレクターをしているのですが、ここ1年ほど、若手社員が頭を使わずにAIでアウトプットを作ることが増えているように感じています。クライアントに提出する企画書やキャッチコピーはもとより、日誌や社内研修の感想等、アウトプットのほとんどがAIに頼り切りです。

社長からは「最近の若手が作る資料は血が通っていない。部長のお前がもっと考える苦しみを叩きこめよ」と怒鳴られています。私自身、若い頃は一晩中、机にかじりついてキャッチコピーを30本書き出すのが当たり前でしたし、本物のアウトプットは人間がのたうち回って絞り出すものだと信じて、仕事をしてきました。

一方で、現場の若手に「自分の頭で考えろ」と諭しても、「AIで5分で終わることに、なぜ一晩かける必要があるんですか」と冷やかな目で見られる始末。ひと昔前では、AIが作る企画書やコピーは実際には使い物にならないと言われたりもしていましたが、悔しいことに、今では(2026年5月現在)非常に洗練されており、もはや常に90点以上のレベルです。

しかし、弊社はクリエイティブな仕事なので、こんな「頭を使わない仕事」を許していては、クリエイターとしての地力がどんどん削り取られていくと私は思います。そういった危機感から、「自分で考えろ!」「AIで考えるな!」と口酸っぱく伝えているのですが、若手は私の理解が及ばないスピードでAI依存を深めています。

どうしたら社長が言うように、現場の若手が自分で考えるようになるのでしょうか?

A59
猛進するAI時代の波をどう乗りこなすか。

本質問にある社長の怒りは、若手社員がAIのアウトプットをそのまま出してくることで、そこには若手社員の意思、考えが出ていないことにあるようですね。

ただAIを活用すれば、若手社員の言うように5分で済むことに、なぜ一晩もかける必要があるのかと思いますよね。

事実最近のAIの進化は目を見張るものがありますね。このような社長と若手社員の違いをどう考えれば良いのでしょうか?

以下、私なりに考察してみたいと思います。

AI時代という大きな波

私は、本質問からまさにAI時代の到来を感じます。日進月歩というより秒進分歩の凄いスピードでAI革命が進行しています。(※多くの企業がAIの導入・活用法に苦慮されているのではと推測されます)

AIの新たな知見の獲得は、若者だけでなく年を重ねても必要なものです。

私達の年代からしたら隔世の感があります。いつの時代もこのような革新的な変化の波が押し寄せて参りました。その都度、人間はその変革に順応して新しい道を切り拓いて来た歴史を持っています。

今起きているAIによる仕事の進化もかつてない大きな社会の波であり、その波にいかにいち早く順応していくかが、企業経営の課題でもあります。

上記のような観点から本質問を概観した時に、若手社員の「AIであれば5分で終わることに、なぜ一晩もかける必要があるのか?」と言うのも、もっともなことです。しかも、その精度の向上も著しいものがあります。

一方、本質問における社長や部長がこれまで頑張って知恵を絞って苦労してきた企画書等の作成が、AIにいとも簡単に取って変わるのは、言い過ぎではありますが、自己否定されたように感じるのも無理はありません。お互いの言い分はよく分り、本質問は私にとりましては難問ではありますが、先に述べましたように凄まじいスピードでAI革命が進行しています。

この優れたAIを活用して企業経営や業務の効率化・省力化に活用すべきであると考えます。

ここで題意とは少し異なるかも知れませんが、AIの登場の意義やAIと人間の違いについて読者の皆さんはすでに承知のことではありますが、ごく簡単に触れておきたいと思います。

AIの進化と企業経営の影響

一般的には業務は、①戦略策定や目的設定、人材配置など経営の仕事、②プロジェクトマネジメントやチームに指示・管理・監督を行なう運用面の仕事、そして、③実際に手足を動かすプロフェッショナルな階層の仕事に分かれます。

②や③の仕事は、指示を与えれば業務を遂行してくれるAIに代替され、更なるAIの進化や技術革新によって多くの職業が自動化され、その3分の2がAIに影響を受けると予想されています。特にルーティン作業や反復的なタスクが多い職業は影響が大きいと思います。

少子高齢化、労働力不足の時代においては、AIはまさに救世主的な存在になり得るでしょう。次にAIと人間の主な違いについても少し調べましたので、簡単に触れておきたいと思います。

AIと人間の違い

  1. AIがデータに基づく論理処理・予測に優れる「他律的」な機械であるのに対し、人間は感情、身体性、好奇心を持ち、意味や文脈を理解して「自律的」に行動できる。
  2. AIは高速な定型業務や分析を得意とする。人間は創造性や未知の状況への適応、倫理的な判断に強みがある。
  3. 思考・判断のプロセス
    AIは膨大なデータから確率的に最も適切な答えを算出する論理的・線形的な思考をする。人間は感情、直観、身体的な経験を通して、状況の「意味」や「価値」を判断する非線形的な思考ができる。
  4. 感情と倫理
    AIは感情検出や感情分析は可能だが自身が感情を持つことはない。データに基づく処理をする。人間は喜び、悲しみ、共感など複雑な感情があり、それが意思決定に影響する。
  5. 責任
    AIは責任を負う主体とはならず、人間が作成したルールや倫理に従う。人間は自身の行動に責任を負い、その場に応じた適切な文脈を理解する。

以上のようなAIと人間の違いの中で私が重視するのは責任の所在です。本質問の若手社員もAIのアウトプットをそのまま出していますが、アウトプットした成果物に対して責任を持つことが求められていることをしっかりと自覚すべきでしょう。

業務遂行において唯一、AIができなくて人間ができることは「責任をとる」という覚悟の有無だと思います。つまり、人がやらなければならないことは最終的成果物について「意思決定する」こと、つまり「責任を負う」ということです。

成果物に対しての責任を教育・指導する

若手社員がAIにより、アウトプットした企画書、その他の書類等を使用することは時間の節約になり効率的ではありますが、重要なのはその書類に責任を持っているかどうかです。

上司に対して、クライアントに対して責任のある仕事が重要となります。社長の怒りはその責任の有無にあるのではと思います。

若手社員にアウトプットに対する責任を持たせる指導をあなた(部長)はすべきです。そうであれば、AI活用も大いに結構なことです。

AI活用の利点は大いに生かすべきですが、最終成果物に対して責任を負うべきことを若手社員に対して指導、教育すべきだと思います。

AIとクリエイティブは矛盾しない

AIによる企画書、キャッチコピー等を参考にすること自体は何ら悪い訳ではなく、むしろAIを活用してより優れたアウトプットを作成する努力が重要であり、AIはより良い資料作りに欠かせないものと考えるべきでしょう。質問にあるようなAIの活用が頭を使わないことと考える必要はないと思います。

AIの活用がクリエイティブな仕事をすることと矛盾するかのような考えは改めるべきだと思います。AIの活用イコールクリエイティブな仕事であり、頭を使わなくなるということではないと認識して、最終的な成果物が自分の意見が入ったものであることに努めて欲しいものです。

この若手社員は社長の指摘のように最終的成果物に自分の意思、思想、考えが入っていない可能性がありますので、その点を指摘、指導すると良いでしょう。

おわりに、AIの登場によるこの変革の時代に

AIを否定するような古い考えを社員に強要するような印象を与えることなく、AIの長所に目を向けて積極的にAIを活用した業務改革を行なって欲しいものです。

このAIの時代に遅れを取らないためにも近い将来の変革を見込んだ経営課題への取り組みを経営層には期待したいものです。

本問題は、社長の意見が正しいか若手社員の業務のやり方が正しいかという二者択一の問題ではありません。AIの登場とその進化のスピードの早さという大きな時代の流れにどう対処していくかが重要な問題であると思います。

時代背景の違う経営者層と若手社員のコミュニケーション(意思疎通)の重要性を痛感する次第です。

AIを活用した成果物に対して最終的な意思決定により責任のある業務遂行を期待しています。

AI導入にあたってのご相談はアメリス(株)まで

お問い合わせはこちら

今回のまとめ

  • AI革命が進行している中、AIの活用は重要である
  • AI活用によるアウトプットに対して最終的に意思決定して責任を取るのは人である
  • 「AI活用」と「クリエイティブな仕事をする」こととは相矛盾するものではない

過去のお悩みはこちら

板ばさみ相談室では皆さまからのお悩みを募集しております。
お問い合わせフォームよりご連絡ください。

回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

大型連休も終わり、職場等へ復帰されたことと思います。巷間では五月病などという言葉もあります。どうか気分をリフレッシュし、睡眠を十分取り、新たな気持で楽しく仕事をしましよう。 5月は爽やかな季節、そんな花が咲き乱れています。多いに楽しみたいものです。

  1. HOME
  2. Amelys Journal
  3. 第59回