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中間管理職板ばさみ相談室

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Q20
「社長と親会社の間で板ばさみになっています」

  • 2023-09-11
  • 小売業 マネージャー(40代)

私は、あるプロジェクトを共同で推進するために、親会社から子会社へ出向しています。子会社社長は、そのプロジェクトを進める意思がありません。やむを得ず、親会社との打ち合わせは私が単独で行っているのですが、そのような状況のため、社内の情報共有が思うように進んでいません。

近々、子会社における最終的な意思決定のリミットが迫っており、私が勝手にプロジェクトを進めてきたことが露呈してしまう状況です。子会社社長はプロジェクトが進行しているとは思っていないため、どこから話していいものかと悩んでいます。

上記のような状況に加えて、親会社から難しい判断を迫られながらプロジェクトを実行することに毎日疲弊しています。私は、今後どのようにこのプロジェクトを進めていけばよいでしょうか。

A20
「責任」について考えてみましょう

まさに板ばさみですね。あなたは心身ともにお疲れのことと同情を禁じえません。
なぜ子会社の社長はそのプロジェクトを進める意思がないのでしょうか?理由としては以下の3つが考えられます。

  1. 出向しているあなたがやるべきと思っている。つまり自分の仕事と思っていない。
  2. 親会社の社長から子会社社長へ十分な説明がなされていないため無関心である。
  3. あなたが子会社へ出向した時に子会社社長へ本プロジェクトについて説明していないため、理解できていない。

意思決定のリミットが近づいている状況なのでどうにもなりませんが、その前にやるべきことはあったのではないかと思われます。

ここでは基本に返って「責任」ということを考えてみましょう!
本プロジェクトを進める責任者は一体だれか?ということです。

  • 「親会社の責任」であれば、子会社社長に対し、プロジェクトの意義・目的・重要性を説くとともに、子会社社長に責任を委任した旨を伝達すべきです。伝え方はできれば口頭ではなく、文書がよいでしょう。
  • 「子会社社長の責任」であれば、その責任放棄をしていることを理解させなければなりません。親会社から注意してもらうか、あなたから子会社社長へ、逐一プロジェクトがうまくいっていない状況を報告しなければなりません。
  • 「あなた」の責任であれば、プロジェクトを進めるために、出向したあなたが子会社社長をプロジェクトに巻き込む努力をすべきだったということになります。

以上から、三者三様に責任逃れをしていると言わざるを得ません。
仕事はそれぞれの立場にそれぞれの責任を伴うものであり、一人で完結することはほとんどありません。日頃から仕事は組織で実行していくものだということ、つまり、組織活動の原則と責任の所在を理解しておくことが大切です。
本件も、発出する方(親会社)、発出された方(子会社)、担当を命じられた方(あなた)は、それぞれの立場で一致協力して本プロジェクトを成功に導かねばなりません。

今は最終的な意思決定のリミットが近づいている状況です。板ばさみの渦中にあるあなたが私心を去り、虚心坦懐を心がけて、全力で取り組んでいきましょう。
三者の日頃からのコミュニケーション不足を感じますので、間にいるあなたがしっかりとコミュニケーションを取って頑張る必要があります。テクニックや遠慮は不要です。真正面からぶつかっていきましょう。
あなたが大変厳しい立場にあるのはわかりますが、この状況を打開できるのはあなたしかいません。この厳しい局面を乗り切れば、きっとあなたの評価につながります。獅子奮迅のご活躍を祈念しております。

今回のまとめ

  • 仕事はそれぞれの立場にそれぞれの責任を伴い、組織で実行していくもの。
  • 厳しい局面こそ、私心を去り全力で取り組むこと。
  • 全員が一致協力するには、日頃からのコミュニケーションも大切です。

各人が「責任」を果たすことは、業務改革を成功させる上でも重要ですね。

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

普段から、「自力」ではなく「他力」で生活している、と思っています。すると、自然と周りへの感謝の気持ちが湧いてきます。

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