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中間管理職板ばさみ相談室

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Q61
「課長になりたい」という人が少なくて困っています。

  • 2026-7-21
  • IT・情報通信業 人事部長 50代

近年、社内で「管理職になりたくない」という若手・中堅社員が急増しており、人事部長として組織の先行きに強い危機感を抱いています。

先日も、次世代のリーダーとして期待していた優秀な中堅社員数名に「来期から課長職をお願いしたい」と打診したのですが、「今のままプレイヤーとして現場にいたい」「責任ばかり重くなって割に合わない」と、ことごとく断られてしまいました。

しかし、組織の体制上、課長のポストをいつまでも空席にしておくわけにはいきません。結局、本人の強い希望があったわけでもなく、「課長の資質がある」とは言い難い人物を、消去法のような形で課長とすることになってしまいました。

私としては、新任課長にチームの旗振り役となり、新たな経営方針の推進や組織改革を牽引してほしいという期待や、任せたい重要な役割がありました。しかし、現実にはその人の能力不足により、本来のマネジメント業務すらまともに回らない状態です。重要な役割を任せるどころか、日々の通常業務の進捗管理すら滞り、チーム全体の機能が著しく低下しています。

「優秀な層は管理職を頑なに拒否し、未熟な人でポストを埋めた結果、組織が停滞していく」この負のループを前に、今の人事制度や組織の仕組みそのものに限界を感じています。

会社を支えるべきミドルマネジメント層がこのような機能不全に陥っている今、人事として、また組織として、一体どこから手を着ければこの状況を打破できるでしょうか。

A61
“なりたい人がいない”のは、
なりたくなる仕組みがないから

相談にあるような管理職になりたくないという人が最近増えているようですね。管理職を目指すことが就職の目的・目標でもなく、また管理職になるメリットもあまりないとなると、こんな現象が起きても不思議ではありませんね。

本論に入りますが、まず本相談内容を一読して問題だと感じたことが二つあります。

一つ目は、優秀な中堅社員が課長職になることをなぜ固辞するのか。

二つ目は、課長の資質があるとは言えない人をなぜ課長にしたのか、ということです。

この二つのことについて以下考えてみましょう。

1.優秀な中堅社員が課長職になることをなぜ固辞するのか

一つ目の優秀な社員が課長職を固辞している点ですが、その原因は以下のようなことが考えられます。

①課長職(管理職)に魅力を感じない。

  • 今のままが居心地が良い
  • 現在の管理職の人達の言動に影響を受けている(現管理職のようにはなりたくない等)
  • 給与など処遇面であまり魅力を感じない
  • 責任ばかりが重くなる
  • 仕事が増えるだけである
  • 精神面での負担が大きくなる(経営陣、上司からの要求などが増えるため)

②優秀な社員達がそもそも上昇志向がない。俗に言う出世を目指していない。

  • 上を目指すメリットが少ない
  • 近年の社会的風潮として上を目指す人が減っている

この様な現状をいかに会社として、人事部として解決していくかが大きな課題ですね。打開策としては管理職の魅力化を図ることに尽きます。魅力化とは何かということですが、待遇を上げるというような小手先の処遇改善もあると思います。

しかし、私は管理職を目指すことが自己実現、自己成長を図り、多くの人の成長により良い影響を及ぼすことのできる素晴らしい道であると認識させることだと思っています。つまり、「自己を磨く大きなチャンス」と捉えて課長を目指すということです。

これは組織における価値観、文化の共有とも関連する他、日頃からの社員教育とあいまって達成されることは言うまでもありません。

また、この会社を自分達の力で素晴らしい会社にして行こうという「魅力化対策プロジェクト」を有志で立ち上げて欲しいくらいです。自分達の力でこの会社をより良い方向に持って行こうという声もあるはずです。

理想論的ではありますが、人事部長として会社の将来の発展・成長に向かってまず手掛けるべきことは、この魅力化策を検討することです。きっと夢を持った志のある人が出て来るはずです。この魅力化策を考える部署がまさに人事部だと思うのです。

もう一つ疑問なのは、課長になって欲しいとお願いしていることです。課長職はお願いしてなってもらうものでしょうか。課長になるためには一定条件をクリアしている人で、会社としてその役職に相応しい人を任命する行為ではないかと思います。

それを固辞することを簡単に許していること自体が組織体として成り立っていません。お願い人事は弊害の元です。権威も何もあったものではありません。

課長ポストにつくための試験を受けたくないというのはまだしも、会社の意思として課長に任命したのを拒否されたのであれば大きな問題です。

どうしても課長職に人を置く必要があるからと言って不適格者を置いてはいけません。そのような場合は、その課長職を誰か部長あたりに一時的に兼務させるなどの方法も考えてみて下さい。

2.課長の資質があるとは言えない人をなぜ課長にしたのか

次に二つ目の問題です。課長の資質があるとは言えない人を課長にしていることです。なぜ不適格者を課長にしたのでしょうか。理解に苦しむところです。誰かを指名してその席に埋めるということでは、会社全体の士気は上りません。まして、能力不足、課長の資質のない人をそのポストにつけているのですから何をか言わんやです。

そもそも会社を支えるべきミドルマネジメント層が機能不全に陥っている、その責任はミドルマネジメント層の社員にあるのではなく会社にあります。つまり、経営陣、人事部長のあなたに責任があるのです。であるならば、何らかの手を打って現状を打破する必要があります。

本質問を読む限りにおいては、結構根の深い問題、つまり長い間に蓄積されたものがあるように思います。どうか根本に立ち帰って、人事部としては、例えば評価制度(課長として相応しい資質とは…等)、人材育成プログラム等教育制度、昇級制度、給与体系の見直しなど打つ手はたくさんあるはずです。

また、短期的施策、中・長期的施策があります。早急に優先順位を決めて現状打破の手を打って欲しいものです。今からでも遅くはない!行動することです。改革に着手することです!

そして、社内にああいう人になりたい等お手本になる、尊敬され、目標とされる社員(管理職)の育成に努めて下さい。

なお、一部の技術者集団の企業等では管理職という概念のないフラットな組織の会社もあるようです。しかしながら、組織として活動する限りにおいては、やはり、チームとしてのまとまり、一体感は重要ですから、リーダーの存在が必要となります。実質的には管理職と呼ばないまでも責任の一元化は必要となります。

要は、企業風土・文化の共有及び経営理念に共感する社員が一体感を持って仕事に専念している状態こそが魅力ある企業と言えます。

どうか、組織的活動を行うことの基本に立ち返って、社員がいきいきとやりがいを持って働ける環境づくりを推進して欲しいと念願してやみません。

以上、理想論的で抽象的な表現が多かったと思いますが私の意のあるところを汲んで参考にして頂ければ幸いです。

今回のまとめ

  • 管理職を目指すことは、自己実現、自己成長を図り多くの人の成長により影響を与えることのできる魅力あるポストにチャレンジすることである
  • 課長に任命する行為を、お願い人事をして権威を失してはならない
  • 社内に目標とされるような人材を育成する仕組みをつくることが重要である
  • 評価制度、人材育成・教育制度、昇級制度、給与体系などを根本から見直し、短期・中長期の施策に優先順位をつけて速やかに着手する

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

梅雨の時期、うっとうしい日もありますが、「梅雨の晴れ間」もあります。体調管理には十分気をつけて、梅雨の晴れ間を楽しみましょう。

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