大好評の板ばさみ相談室が、ついに音声コンテンツになって登場!
移動中やお昼休みなどに、ぜひお聴きください。
中間管理職板ばさみ相談室
板挟みの悩み多き中間管理職。あなたの悩みが、みんなのヒントに!?
1000人規模の自衛隊の元指揮官、大企業の顧問を長年経験した組織運営のベテランが、
あなたのお仕事の悩みにお答えします。
Q42
経営会議の決定に横たわる部長
- 2024-12-16
- サービス業 総務部 部長(40代)
先日参加した経営会議で、「複数の子会社と各支店で実施している請求業務の集約、BPO(アウトソーシング)化」を決定しました。
これまで、各支店や子会社で別々に請求書を作成・発行していたのですが、重複作業や修正作業が多く、オペミスも発生している状況でした。
それを改善するために、集約・BPO化が決まったのですが、後日、会議に参加していたとある部長が、決定しているにも関わらず覆そうとしているのです。
請求業務がBPO化になったことで、一部のお客様には承諾をいただかなければいけない内容が含まれていることから、その部長は「そんなの承諾をもらえるわけがない」と言って、取り組む気配がありません。
先日もまわりの社員がいるところで大きな声で「営業業務で忙しいのに、そんなことをやる余裕はない」と不満を口にして後伸ばしにしています。
当初の予定したスケジュールが遅れに遅れ、社長からは、私が彼の担当分もカバーするようにとの指示がありましたが、日常の業務もあり手が回りません。
決定事項を実行しない部長、どうにかならないでしょうか?
A42
意志をもち、目的と必要性を
一点の疑義なく理解させる
本題の部長はどうにもなりませんね。お困りのことと思います。
問題は以下の3つにあります。
- ①経営会議の決定に従わない部長
- ②業務が忙しく、そんな余裕はないと言う同部長
- ③社長は、従わず「忙しい」と言う部長の担当分をあなたにカバーするように指示
問題①:「経営会議の決定に従わない部長」
これを解決するためには、まず、①「経営会議の決定に従わない部長を会社として、経営者としてどうするか」です。
明らかに会社の決定に従わず、不満さえ述べてやろうとしないわけですから、強い指導が必要となります。
指導するのは経営陣であり、社長の強いリーダーシップが求められます。社長が指導しても従わない場合は、何らかのペナルティが必要です。社内規程等に基づき処罰も辞さないことです。
もちろん、その部長と対決して決定的な事態まで行ってしまうのは得策とは言えませんので話し合いで解決するのが望ましいのですが……
部長にまでなった人が経営会議の決定に従わず「請求業務の集約・BPO化」のメリットを理解できないということは、そもそも、その人が部長たる資格がないのではとさえ思います。
問題②:「業務が忙しく、そんな余裕はないと言う同部長」
次に、②「業務が忙しく、そんな余裕はないと言う部長」に対してどうするかです。
以下は私の体験ですが、工事関係の会社で現場を持つ課長~部長クラスの方々から話を聞いたことがあります。
その時、色々な改善提案が出されるのですが、随所に「忙しい」という言葉が出て話が進展しないのです。多くの人が「忙しい、忙しい」と口癖のように言い、この会社では「忙しい」という理由で改善提案が進まなくなっていったのです。
そこで、私は「忙しい」という言葉を使わないこと、「忙しい」を理由に改革、改善すべき仕事から逃げないことを提唱したことがあります。
その発想で、かなりの仕事の進展がみられた経験があります。
業務の改善・改革には、それにブレーキをかけるような言葉は禁句です。
この部長は「忙しい。そんなことをやる余裕はない」と言っています。
業務の改革・改善こそが「忙しい」を解消することだと思うのですが……
結局、経営会議の決定事項さえもやる気がないわけです。そんなことを許していて、会社の重要な業務の改革、改善が出来るでしょうか?
問題③:「部長の担当分をあなたにカバーするよう指示」
3番目の問題は、③「社長は従わずに忙しいと言う部長の担当分をあなたにカバーするよう指示」です。
社長の問題は、やらない部長を放置して、あなたにカバーするよう指示したことです。
もちろん、最も大きな問題は、営業部長のやる気がないことですが、それを黙認して社長も従わない営業部長を指導しない、指導できないことは社長としてのリーダーシップ能力が問われています。
このように組織的活動を邪魔するような「属人的判断」を下す部長が現れた場合、トップとして断固やるべきことをやらせる「リーダーとしての意志の強さ」が重要です。
社長のリーダーシップ能力不足、日頃からのコミュニケーション不足を感じる次第です。
もう一つは、あなたの問題です。
あなたも「忙しい」と言ってカバーする気がないことです。もし、あなたが忙しい中においても社長から言われた通り、営業部長の分もカバーしたとしたらどうでしょう。社長からも認められ、カバーしてもらって営業部長もあなたに感謝するかもしれません。
当然、あなたもカバーする場合に社長から認められること、営業部長から感謝されることを目的に仕事をするわけではないでしょうが……
このような積み重ねが、あなたが多くの人から信頼を得ることになると思います。
以上、述べましたが、あなたの立場からして本問題が解決したと思えないかもしれませんので、少し付言したいと思います。
先ず、経営会議の決定事項である「業務の集約・BPO化」がいかに会社にとってメリットがあるかを説いて、関係者の理解をより強固なものにしていくことが大事だと思います。
おそらくその部長は「業務の集約・BPO化」の重要性や必要性とそのメリットの大きさを十分に理解していない可能性があります。
「業務の集約・BPO化」は会社としての重要な経営戦略です。「①コスト削減」「②業務品質の向上」「③コア業務へのリソース集中(経営資源の集中)」等々メリットも大きいものです。
総務部長としてあなたがBPO化のメリットをよく説明する必要もあると感じます。
また、問題の営業部長とも対立することなくコミュニケーションを取り、相互理解を進めることも重要です。
お互いにスタッフ同士ですから、私のいう「補佐道」(フォロワーシップ)をご一読いただき参考にしていただければ幸いです。
そして、目的を共有して、変化を恐れず、決定事項はやり抜く意志力をもって断固業務の改革・改善を進めて下さい。
あなたなら、出来るはずです。期待しています。
今回のまとめ
- 業務改革・業務改善は、「断固やる」という経営陣の意志力、決断力が重要です。
- 物事をなす時には、その目的・目標(何のために、何をいつまでに)を示し、その重要性、必要性を一点の疑義もないように理解させること
- 「組織的活動を阻害する行動を許さない」という強いリーダーシップの発揮がトップには求められる。
板ばさみ相談室では皆さまからのお悩みを募集しております。
お問い合わせフォームよりご連絡ください。
回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
上司が自分と異なる決定をした場合でも、潔くその決定に従い、全力をもって決定事項の達成に邁進しましょう。どうしても反対の都合は、信念をもって手順を踏んで、誠心誠意、意見具申をしましょう!!