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中間管理職板ばさみ相談室
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Q63
社長である私が、いつも後から知らされる
- 2026-09-24
- サービス業 子会社社長 50代
数年前、当社はある事業部門を分社化しました。私はその子会社の社長を任され、独立した会社として事業を伸ばしてほしいという期待を受け、使命感を持って着任したのです。
ところが、いざ動き出してみると、親会社からの指示や方針が、子会社の社長である私のところを通らず、親会社の管理部から直接、当社の管理部へ行きます。分社化前からの担当者間の関係で話が進んでいくのです。
それでいて、親会社の役員からは「子会社なのだから、お前がしっかり統括しろ」と厳しく言われます。
先日も、当社の重要な運用変更を、決まった後になって「本社の指示で来月からこうなります」と事後報告で知らされました。社長である私が、自分の会社の決定をいつも後から知らされるのです。
一方で、当社管理部を通じて降りてくる親会社の指示と、私が社長として掲げている方針が食い違うことがあり、現場からは、「本社の指示と社長の話、どちらに従えばいいのですか」と不満の声があがるようになっているのです。
親会社の管理部は、子会社の社長など通す必要はないと、私を軽んじているのでしょうか。それとも当社管理部が、社長である私を信頼せず報告を上げてこないのでしょうか。
上からは統括の責任を問われ、下からは困惑される。その板挟みになりながら、私はどちらにも強く出られないまま時間だけが過ぎていきます。
子会社の社長として、私はいったいどうすればよいのでしょうか。
A63
問題は人ではなく、乱れた指揮系統にある!
質問を拝見しました。困ったものですね。あなたは子会社の社長として、また独立した一つの会社として事業を伸ばして欲しいという期待を背負って社長に就任した訳ですが、質問にあるような状態では無理です。
先ず親会社からの指示や方針が社長であるあなたのところに来ないというのはかなり問題です。また重要な運用変更が決定後に事後報告で知らされるなどもってのほかです。さらには、親会社の指示とあなたの方針が食い違うということは本当に困ったことです。あなたには独立した会社として事業を伸ばすことが期待されていますので……。
組織的な仕事の仕方(基本)を理解していない
本問題のポイントは、指揮系統の乱れ、無視です。極めてゆゆしき問題と言わざるを得ません。早急に解決しなければならない問題です。
文面からすると、子会社の社長であるあなたを、親会社の管理部も部下である子会社の管理部も軽んじているように見えます。しかし、むしろ本質は、組織的な仕事の仕方を理解していないことにあるのだと思います。
この様な状態を、あなたは放置していて良いのでしょうか。あなたは子会社と言えども社長ですから、ここは強いリーダーシップが求められます。この状況を打開するために、あなたはどう動けば良いのでしょうか。
あなたが実行すべき三つのこと
解決のためにあなたが実行すべきことを以下述べたいと思います。
- 重要事項は、先ず社長である自分を通すよう求める
親会社の管理部長に重要事項は先ず自分を通すようにと強く要求する必要があります。
また、あなたの部下に対して親会社からの指示事項など重要な事項は先ず、社長である自分に報告するように指導し徹底しなければなりません。
部下は特に何も指示されなくても上司に報告する習慣を身につける必要があります。そのためには、報告の意義、重要性、報告の実施要領など報告の基本的事項を教育することも大事です。 - 社長自ら、積極的に情報を取りに行く
社長自ら積極的に情報を取りに行くことも重要です。頻繁に部下のところに足を運ぶことにより情報を収集します。
本来、質の高い情報が一番入ってくるのが社長のはずです。地位的にも職務上からも、また人脈からしても当然です。その社長に情報が入らなかったり、後回しになるのは何ともおかしな話です。
是非、待ちの姿勢ではなく自ら積極的に行動して情報入手に努めて下さい。
情報がなければ社長としての職務さえも全うできないと思います。 - 情報要求と報告要求を、明確に出す
社長がまず情報要求を出すとともに報告要求をする。今、一番必要としている情報要求(EEI)を明確に示し、何をいつまでに報告すべきかを明確にする。
つまり、トップが今、何に一番関心を持っているかが分り、部下の活動に準拠を与えることになります。
(注) EEIとは、Essential Elements of Information(情報主要素)の略をいい、トップが今最も必要としている最重要の情報のことを言います。
以上、実行すべきことはありきたりではありますが、その根本にある重要なことは、あなたが信念を持って社長業を遂行するという姿勢こそが問われていると考えましょう。それこそが、周りの人達の信頼を得る基本だと思います。
親会社と子会社の関係を見直す
この問題の背景には親会社と子会社の関係もあると思われます。会社が分社化されるにあたって何らかの取り決め、期待など明確なものがあったかどうかです。親会社と子会社の関係によっても対応も異なると思います。両者の関係についても考慮すべきです。
ここで少しだけ親会社と子会社についても触れておきたいと思います。
元来、上下の関係ではなく、グループ全体の利益を考え、 それぞれが責任を持って経営する関係が理想だと思います。しかし、様々な形態はありますが、一般に親会社が子会社の議決権を半分以上保有していて実質的に経営を支配していることが多いです。このため以下のことを考慮する必要があるでしょう。
- 役割と責任を明確にする。
- 子会社の自主性を尊重する。ただし、結果については責任を持ってもらう。
- 情報をオープンにする。問題・リスク・現場の声が上げられる環境が必要である。
- 親会社が子会社に過大な要求、押し付けをしない。
- グループとしてどう発展するか共通の目的を持つ。
それぞれが独立した会社として共存共栄を図ることが理想ですね。
指揮系統のあるべき姿
さて、まとめとして本問題の核心である親会社と子会社の指揮系統のあるべき姿を記述して参考に供したいと思います。
基本は親会社の社長から子会社の社長へ方針や指示事項など子会社に影響を及ぼす重要事項が伝わらなければなりません。親会社の社長から委任を受けた事項に関しては、社長名で本社管理部長が子会社の社長へ発出することはあります。
ここで問題なのは、指揮系統及び報告系統の基本的流れの理解不足です。そのためにあなたに重要な方針や指示が伝わらないのです。先ずは、命令・指示、業務の流れを図で示したいと思います。

以上の基本的事項が理解され、遵守されれば、あなた(子会社社長)に重要事項が届かないことはなく、あなたは社長として果すべき任務を完遂できるでしょう。
今のままだとあなたが居ても居なくても仕事は回っていると言われ兼ねません。随分甘く見られたものです。ここは一念奮起してあるべき会社の姿に戻すべく努力して下さい。あなたの強い意志、リーダーシップがこの古い体質とも言える会社を変革させるでしょう。
指揮系統と補佐系統の混同あるいは理解不足はすぐに良くなるとは思いません。私が日頃から述べているリーダーシップ(指揮)とフォロワーシップ(補佐)の考え方を、根気強く教育して理解して頂きたいものです。
分社化前からの担当者間の関係で話が進んでいるようですが、子会社とは言え、一つの独立した会社ですから、いつまでも親会社への依存や分社化前の仕事のやり方や人間関係等を引きずっていては分社化した意味がありません。
どうか、あなたがリーダーシップを発揮して組織的活動はどうあるべきか基本に立ち返って考えてみて下さい。大変難しい立場ですが、あなたの強い信念に基づき多くの人の信頼を得て、現状を打破する気概を持って頂きたいと念願しています。頑張って下さい。
今回のまとめ
- 子会社社長であるあなたが強いリーダーシップを発揮して現状を打開する気概を持つ。
- 情報は自ら積極に取りに行く。待ちの姿勢ではなく行動する。
- 指揮系統(リーダーシップ)と補佐系統(フォロワーシップ) のあるべき姿を組織に根付かせる
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回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
熊本地震の発生や全国各地で線状降水帯などが発生しています。「治に居て乱を忘れず」「備えあれば憂いなし」「災害は忘れた頃にやってくる」等という言葉を噛み締めて、災害を最小限に食い止める努力をして参りましょう。
次回お悩み予告
2026-10-26UP予定
指揮道③ リーダーの思考方法(任務分析)
