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中間管理職板ばさみ相談室

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Q27
年配の部下の指導方法がわかりません

  • 2023-12-25
  • 製造業 マネージャー(30代)

製造業のメーカーに勤めております。1年ほど前に昇進し、マネージャーになりました。年功序列が原則の会社ではあるのですが、昇進できていない約30歳年上の部下Aさんがいます。Aさんは人とのコミュニケーションが苦手で、報告・連絡・相談が少ないので、随時こちらで状況をキャッチアップしなければなりません。年が離れていることもあり、日々気を遣いながら働いています。
つい先日、Aさんに業務を依頼したところ、“忙しい”という理由で断られました。締切を延ばす提案や、作業内容を減らす提案をしてみましたが、今以上の業務はやりたくないのか、了承は得られず、やむなくその業務は別の部下にお願いすることにしました。
また、その数日後、部長からAさんを指導するよう指示があったので、仕事に取り組む態度について指導をしましたが、目線も合わせず、うわべで「わかりました」と言うだけで、真剣に受け止めていないと感じました。「若造がなんか言っている」くらいにしか思っていないのではないかと思います。
そんな様子に、年の離れた年配の方への指導など今更無駄なのではないかと、自分の気持ちが折れてしまいました。部長も私に任せっぱなしで、自分が指導する気はなさそうですし、これからどのようにAさんと向き合っていけば良いかわかりません。アドバイスをお願いします。

A27
話をよく聞き 、気持ちを受け止める

今回は私が過去、年上の部下を持ったことがある経験からの回答となります。ただし、自衛隊での経験ですから、民間企業の場合とは少し異なる面もあると思いますが、参考となれば幸いです。
その経験とは、私が36歳の時、香川県の善通寺で中隊長として勤務したときのことです。
部下が160名ほどいたのですが、ちょうど私が平均年齢でした。やはり苦慮したのは、年配の部下でした。若い人と比較して動きが悪く、中隊長の私にも意見してくるのです。意見の中には、建設的なものから自己保身的なものまで色々あるのですが、総じて「昔はこうだった」と過去自分たちが若い時に頑張ったことが中心でした。これらの年配者(36歳の私に対して50歳過ぎの人たち)とどう向き合い、信頼を勝ち取り、自分の思うような方向に積極的に向かわせるかが課題でした。そんな中で、年配者と面談を繰り返し、私なりに年配者を指導するポイントを悟りました。言葉にすると簡単なことです。
それは、年配者たちの「一言言いたい」という気持ちをしっかり受け止め、彼らの意見を十分に聞いてあげることでした。人は誰しも認められたい、自分の存在感をアピールしたいと思っている生き物です。しっかりと年配者の話を聞くことで不平不満の解消につながり、さらにアドバイスをもらうことで、年配者の自己存在感を満足させることにつながったように思います。
話をしっかりと聞くこと自体は、若い人に対しても同じだと言えますが、若い人はグイグイと引っ張っていく方式で頑張ってくれるものです。一方、年配者についてはプライドを持っているので、話をよく聞いてプライドを尊重してあげることが重要だと思いました。

本題に戻りますが、Aさんがあなたの指導を真剣に受け止めていないような態度を取るということは、仕事上、性格上もしくは一身上、何らかの不満を持っている可能性がありますね。自分の仕事にプライドを持っており、「こんな若造に何が分かるか」と不満を押し殺し反抗的な態度に出ているのかもしれません。一方で、年配者は体力面では自信がなかったり、家庭内での色々な問題を抱えていたりすることも多くあります。そのため、現状維持を望んだり、新しいことをやりたがらなかったりする傾向があります。

では、ここで、年配者の一般的な特性をまとめましょう。
年配者の長所としては、

  1. 長年の経験の蓄積がある
  2. 部下などに対する指導力が身につく
  3. 仕事にまい進している
  4. 人の役に立ちたいと思っている

などが挙げられます。
反面、短所としては、

  1. マンネリ化して新しいことを考えなくなり、チャレンジ精神がなくなりやすい
  2. 頑固になり人の意見に耳を傾けなくなる
  3. 変なプライドを持っていることに気付かない

等々です。
これらの特性を理解して、実際の指導に役立てましょう。つまり、長所をどんどん活用して、活躍の場を広げることを意識してみましょう。

次に、指導する上で重要なことは、年上であろうが、年下であろうが仕事上の上下関係を守らせることです。特に、年配者への指導では、「指示」が「お願い」になりがちですが、上司からの業務指示に相手が従わないようであれば、毅然とした態度を見せることも必要です。

もう一つ重要なことは、本人の性格特性を把握することです。特に本題のケースのようにコミュニケーションが苦手な方、報告・連絡・相談が少ない人にはそれなりの仕事の与え方や対応を考えなければなりません。つまり、多くの人と関わって協力して行う仕事に向かない人は、個人で完結するような仕事を与えるなど、その人の特性に応じた仕事の与え方をしなければなりません。

また、その他に、年配者に対しての指導において配慮すべきことは、以下の通りです。

  1. 指導する時は誰もいないところで行うこと。特に注意したり、叱責したりするときには配慮が必要です。本人の自尊心を傷つけないように気を付けましょう。
  2. 年配者に対する尊敬の念を表すこと。例えば、「私みたいな若造が生意気なことを言うようですが……」「やはり長年積み上げた経験から来る話は違いますね」などの言葉を使うことも有効です。
  3. 年配者ということを意識しすぎないこと。年上であってもダメなものはダメ、やるべきことをやってもらうという強い態度、意思が必要です。そうすることにより、この人には従わなければ、という気持ちが芽生えることもあります。

以上、色々と述べましたが、これらは私の自衛隊におけるささやかな実体験から回答したものです。結論としては、若い人に対しては、グイグイと引っ張っていく方式で自らが先頭に立って引っ張る。年配者に対しては、言いたいことをしっかり聞いてあげる。その上で信頼関係を築き、やるべきことをきちんとやってもらうことです。指導する立場の人が年配者ということをあまり意識しすぎないことも重要ですね。
回答になったかどうか分かりませんが、少しでも参考となれば幸いです。

今回のまとめ

  • 年配者の言いたいことをしっかり聞き、気持ちを受け止める
  • 本人の特性を把握する
  • 年配者であることを意識しすぎない
担当者コメント

「相手の言いたいことをしっかりと聞く」ことは年齢を問わず大切ですね。その他の過去のお悩みはこちらから

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

先日太宰府天満宮に行ってきました。名物である出来立ての「梅ヶ枝餅」はいくつでも食べられる美味しさでした。

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