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Q26
部下に仕事が楽しくないと言われて困っています

  • 2023-12-11
  • 保険業界 課長(40代)

保険会社の支店で課長をやっております。この10年で支店がどんどん増えて、入社したころに比べると会社の規模が随分大きくなりました。昔は、自ら企画したプロジェクトを試行錯誤して最後までやり遂げるような手触り感のある仕事ができていたのですが、会社の規模が大きくなるに伴い、どんどん中央集権型になり、企画は本社で行い、支店の仕事のほとんどがオペレーションになってしまいました。私自身キャリアアップしたこともありますが、昔に比べると支店の仕事自体につまらなさを感じております。
そんな中、先日、部下からも「仕事が楽しくない」と相談を受けました。私自身はもっと支店の若手に企画をやらせてあげたいのですが、部長や支店長は「本社に言われたことだけやっていれば良い」というスタンスなのでそんな相談をしたところで、有益なアドバイスをもらえそうにありません。彼に仕事を楽しいと思ってもらうために、自分ができることは何かありますか。

A26
自分と部下の「楽しい」状態を知る

部下に仕事が楽しくないと言われても、上司のあなたも困りますよね。一般的には会社が小規模な時には自分の存在感が大きくやりがいを感じやすいものですが、組織拡大していくと段々と組織としての目標達成が優先されます。そうすると1プレーヤーとして思い切り楽しくできていたのが、チームとしてマネジメントされ、組織としての目標達成を要求されます。これが本問題の「楽しくない」原因になっているのではないか、と考えられます。
ここで少し原点に戻りましょう。
仕事の楽しさというのは一体何でしょうか。楽しさというのは人が与えてくれるものでしょうか?
この部下の方は、仕事について他力本願なところがあるようですね。元々楽しさとは自分で見つけ出すもので、他人が与えてくれるような性質のものではありません。
ただ、上司のあなたとしては、その人の好きな仕事、得意な仕事を与える努力をして、その人の持っている実力を大いに発揮させることも大事です。それによって、仕事が楽しくなれば良いですね。

さて、どんな仕事を与えても面白くない、楽しくないという方がいる反面、どんな仕事を与えても楽しいという方もいます。どうも「楽しい」「楽しくない」はその人の心の状態にも関連しているようです。
仕事が「楽しい」ということを、ここからもう少し掘り下げて考えてみましょう。

まず仕事が楽しい状態とは以下のようなことが考えられます。

  1. 仕事が楽で簡単にできて、自分の能力の範囲内である状態
  2. 困難な仕事(目標)に向かって努力している状態
  3. 成果が目に見えてやりがいを感じている状態
  4. 仲間と協力して仕事をやり遂げる努力をしている状態
  5. 仕事をやり遂げる過程で自己成長させてくれる状態
  6. 上司に恵まれ、上司に認められて仕事が出来ている状態

通常、人が仕事に対して、何を楽しいと感じるかは千差万別です。自分あるいは部下がどういう状態のときに楽しさを覚えるかを知りましょう。

次に、「楽しさ」をさらに進化させる考え方(個からチーム・組織へ、私的から公的へ)を以下に列挙したいと思います。部下指導の参考になれば幸いです。
一つ目は、上司として、部下の能力、性格に合った仕事を与えること
二つ目は、部下が「仕事を楽しい」と感じる状態とは、どういう状態かを知る努力をすること。
三つ目は、あなた(課長)自身が「仕事が楽しくない」と言っていること自体が問題なので、あなた自身が仕事を楽しくする努力をすること。上司の態度は部下にも伝播すると認識すること。
四つ目は、組織が大きくなると求められる仕事の質が変わる、ということを教えること。
五つ目は、1プレーヤーとして働いているときが楽しいと感じる人には、段々とマネジメント面を担当してチームとして成果を上げる喜び・楽しさを覚える経験をさせること。

「楽しさ」は、年齢・経験・勤務年数・会社の状態(組織や体制)・役職などによっても変化し、進化させるものです。このお悩みの部下の方も、状態に合わせて楽しさを進化させなければならない時期に来ているのでは、と推測されます。課長としてあなた自身も楽しく仕事をする努力をしたうえで、多くの経験を部下に伝えて、「楽しさ」とは何かを教えてあげてください。

楽しくなければ、いい仕事はできません。それは決して楽をするという意味ではありません。仕事を通じて自己成長を図ることが大事だと思います。
また、仕事への慣れやマンネリ化を打破することも、仕事を楽しくする重要なポイントです。この機会にチェックしてみましょう!

今回のまとめ

  • 楽しさとは、他人から与えられるものではなく自分で見つけ出すもの
  • 自分と部下の「楽しい」状態を知る
  • 「楽しさ」は状態に合わせて進化させましょう
担当者コメント

仕事の「楽しさ」の本質を忘れないようにしたいものですね。本質的な部下育成にはこちらのコラムもおすすめです

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

先日太宰府天満宮に行ってきました。名物である出来立ての「梅ヶ枝餅」はいくつでも食べられる美味しさでした。

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