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Q28
なぜリモートワークがダメなのか?

  • 2024-01-09
  • 不動産業 マネージャー(40代)

不動産会社でマネージャーとして働いております。最近、人事異動があり、直属の上司の部長が替わりました。それまでは週2~3回リモートワークをしていましたが、部長の考えで「原則出社、リモートワークは育児・介護など理由がある人のみ月1回まで」というルールになりました。
自分も部下もリモートワークでも問題なく業務はできていたので、毎日出社する必要性を感じておりません。部下からも前のルールに戻してほしいと言われております。コミュニケーションの懸念や評価については仕組みで解決すべき、と部長に提案してみましたが、コロナ禍でも全くリモートワークをしなかったという部長には受け入れられませんでした。
リモートワークの方が働きやすい社員がいるのは事実ですし、優秀な人材の確保の観点からも働きやすい環境を整えた方が良いと考えますが、こういう昔ながらの考え方の部長はどうやったら説得できるのでしょうか。

A28
論理的思考で説得を試みる

新型コロナウイルス感染症の流行によって、多くの企業でリモートワーク(テレワーク)が導入され、新しい働き方として定着していることは、周知の事実です。そんな中、本題のような問題が起こっています。与えられた仕事をちゃんとやっていれば、仕事をする場所は問わないのではないか、リモートワークの方が効率的ではないか、という考え方の人は多いように思います。
本題のような部長を説得できる特効薬はありませんので、部長が何故リモートワークを導入しようとしないのかじっくりと考えてみましょう。
まず、部長を説得したいあなた(マネージャー)としては、リモートワークのメリット・デメリットを明らかにすることが大事だと思います。一例として、一般社団法人日本テレワーク協会と総務省のホームページを参照のもと、以下の通り表にしてみました。

リモートワーク(テレワーク)
定義 「情報通信技術ICT(Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方
意義
国の考え方
(すう勢)
「少子高齢化による労働力低下」や「働くスタイルの多様化」に対応するために働き方改革を提唱。従業員の満足度が高まるよう精度設計・環境づくりを推奨
メリット
  • 育児や介護と仕事の両立が可能
  • 通勤時間の減少
  • 会社のコスト削減
  • 遠隔地の優秀な人材の採用が可能
  • 他の人に影響されずに仕事に没頭できる等々
デメリット
  • 情報漏洩のリスクが高まる
  • 人事評価がしづらい
  • 社員一人ひとりの勤怠管理が難しい
  • 社員同士のコミュニケーションが不足
  • 他の人から学ぶ機会が減少
  • 会社全般の状況や他の社員の仕事の状況が分かりづらい等々

部長はこのデメリットに対して危惧を抱いている可能性がありますので、あなたが部長を説得するためには、このデメリットを補う対策を準備しなければなりません。
要はあなたが部長を説得するために論理的な思考過程を踏んで、メリットを助長し、デメリットを補う対策を立てる必要があります。それができてから部長を説得するようにしてください。
今一度、思考過程を整理してみましょう。

【思考過程(一例)】

  1. リモートワークの定義、意義等を明らかにして、その背景や社会環境を理解する(状況把握)
  2. リモートワークの利害損失(メリット・デメリット)を明らかにする(列挙)
  3. メリットを助長し、デメリットを補う対策を検討する(分析検討)
  4. 部長の真意を理解し、説得のための手順を決める(方針決定)

以上を考慮の上で、感情論に頼らず、論理的に説得を試みるのも一案かと思います。リモートワークの必要性、重要性をしっかりと腑に落とし、根気強く勇気を持って説得する心構えが大切です。
また、あなたはこの課題について、別の観点からも考えておく必要があります。それは、部長に何回意見具申してもどうしても受け入れられない場合、どうするかということです。部長には部長のお考えがおありだと思いますので、部長の原則出社のメリットも考慮して、反対に社員をその方向で説得し、上司の意図を部下に理解・納得・徹底させる努力も必要になることもある、ということを付言しておきたいと思います。
以上、人(上司、部下等)を説得する方法として、論理的思考(思考過程)について強調するとともに、リモートワークを行う上で基本的に重要なことを述べてみました。

また、本題と少し逸れるかもしれませんが、リモートワークを行う上で、もう1つ重要なことがあります。リモートワークを可能にする基盤が会社、および従業員にあるかということです。リモートワークを採用するかしないかという問題の根底にあるものは何か。
それは会社と従業員の「信頼関係」です。信頼関係を育むためには、まず会社が「自律的組織」であること、会社が自律的風土を従業員に提供できていることが重要です。
そのためには、以下のことを社内にて実施し、浸透させましょう。

  1. 組織目的、つまり企業理念やビジョンなど従業員が一体となれる共通の考え方を共有する
  2. 社内の人間関係(上下左右)のコミュニケーションを十分取る
  3. 自分自身が会社の役に立ちたいという強い貢献意欲を持つ
  4. 会社が公正な評価を行う

また、リモートワークで働く者として大事なこともあります。それは、上記のことを理解したうえで、「自律的に働く」意識と心構えを持つことです。会社の理念を理解し、上司、同僚と意思疎通(コミュニケーション)を図ることにより信頼関係を構築して、初めて快適なリモートワークができるでしょう。
積極的に仕事へ関与すること、つまり自発的に仕事に取り組むこと、及び報告・連絡・相談を密に行う誠実さこそが「自律的に働く」基本だと思います。以上、参考となれば幸いです。

今回のまとめ

  • 論理的思考(思考過程)を踏んで根気強く説得する
  • リモートワークを行う上では、会社と従業員の「信頼関係」が必要
  • 会社が「自律的組織」であること、リモートワークで働く者が「自律的に働く」誠実さを持っていること、どちらも大切
担当者コメント

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

人生は「諸行無常」です。変わらないものなど、この世にありません。現実を受け入れて変化に対応していくことが大切です。

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