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中間管理職板ばさみ相談室

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Q32
他人事な様子にイライラ

  • 2024-03-11
  • 不動産業 マネージャー(40代)

不動産業の会社でマネージャーをしている者です。最近新規プロジェクトが立ち上がったので、A部長と一緒に計画を進めています。B部と協働で進めなくてはならないプロジェクトなのですが、B部はあまり乗り気ではないため、仕方なくうちの部署主導で進めています。というのも、どうやらB部長があまりこのプロジェクトに賛成していないようで、担当者レベルで細かい情報収集はやってくれるのですが、肝心の実務は全て現場に任せきりです。
B部長は、穏やかで波風を立てないタイプということもあり、公に反対の姿勢は示すことはないのですが、裏では「このプロジェクトは赤字なので無理でしょ」とあきらめるような発言をしています。そんな様子なので、先日A部長からB部長へプロジェクトを進める意義や目的を改めて共有したのですが、その場はやんわりとした質疑応答に終始しただけでした。その後も“忙しい”を理由に、B部長がこのプロジェクトに積極的に関わろうとしない様子は相変わらずです。
反対なのであれば、会議の場ではっきり発言して建設的な議論をしてほしいですし、B部長のどこか他人事な様子にイラっとしてしまいます。B部長にもっと積極的に関与してほしいのですが、こういう人を前向きに巻き込むにはどうしたらよいのでしょうか。

A32
客観的分析をもとに熱意をもって
働きかける

新規プロジェクトについてのお悩みですね。このプロジェクトは、B部長が言うように、赤字で無理なのでしょうか。もし本当にそうなのであれば、プロジェクトをやる意味はありません。でも、少なくともあなたはそうは思っていないはずです。文面上ではどうしても本プロジェクトをやらなければならないというあなたの強い意志までは感じられませんでしたが、もし強い意志があるのであれば、しっかりとその熱意を周囲に伝えていくことが必要かと思います。「熱意は人を動かす」という言葉もあります。

以下の流れで考えてみましょう。

まず、本プロジェクトは本当にやる必要があるのかどうかです。本プロジェクトを実行する場合の利害損失、つまり利点(効果)、不利点(問題点)を明らかにします。そして、実行しない場合と比較検討して費用対効果を加味して、実際にやることができるかどうかその実行の可能性を判断します。

それらの分析・検討結果を基にしてプロジェクトの決定権者が実施の可否を決心します。そのプロジェクトを「やる」と決心した場合は、その決心に基づき計画を進めます。

次は、どの部署がやるべきか、本プロジェクトの主管はどこかを決めます。A部かB部か、はたまたA部、B部にまたがる協働か(この場合、A部、B部の上位の責任者が必要)あるいは特別に編成されたプロジェクトチームを指令するか、などいくつかのパターンがあります。

そして、責任者が決まって、初めて本プロジェクトを実行していくことになります。ここまでの検討がしっかりと成されていれば、本質問のような問題は起こりえないと思いますので、分析・検討が不十分という可能性があるのではないでしょうか。

まとめとして、B部長を巻き込み、積極的にプロジェクトに参画してもらうためには、再度以下の3つを整理する必要があると思います。

  1. 先ずプロジェクトの実施可否(やるかやらないか)の分析が十分になされているか。
  2. 誰が決定権者なのか。決定権者が分析に基づき決心したのか。
  3. 主管部署はどこか。その権限は明確になっているか。いわゆる責任の所在はどうなっているか。

B部長に対しては、客観的分析と規程等による根拠をもとに、自信と熱意をもって働きかけていくことが必要です。

また、B部長のような公には意見を言わずに裏で陰口を言うタイプの人は、自尊心の高い人が多いです。そういった人への対応としては、会議など重要な結節時に、次のような質問をして当事者意識を持たせるとよいと思います。

  • B部長、何かアドバイスなどいただけないでしょうか。
  • B部長、今までの多くの経験から何かご意見ございますか。

等々の質問をして、自尊心を傷つけないようにすることがポイントです。そもそも発言しないのは、人の批判を気にして、自信のないところを見せたくない小心者だからです。B部長のような人には、できるだけ多くの人がいるところで他の人にも聞こえるように話をしてもらい、後から裏で文句を言わないようにする、つまり、多くの人の前で話をさせて逃げ道(陰での文句)をふさぐと良いですね。また、会議の場で、最終的な決定事項に反対意見はないかを確認して、くぎを刺すことも必要です。人前で恥をかかせず意見を尊重してあげると気分が良くなり、陰口が少なくなるかもしれません。特効薬はありませんが、よろしければ試してみてください。

蛇足ですが、最後にもう1つお伝えしたいことがあります。「忙しい」についてです。多くの人ができない理由、やりたくない理由に「忙しい」という言葉を使います。自己PRに使う方もいます。中には本当に忙しい人もいますが、本人の「忙しい」という理由を認めている会社は、今一度見直す必要があるのではないか、と私は感じています。

ある会社で、何かをやろうとしたときに、地位の上下に関係なく「忙しい」と、社員たちが口々に言い始めました。私はその「忙しい」という言葉はやめましょう、と口酸っぱくして言い続けました。最終的には、会社から「忙しい」という言葉を追放してほしい、とまで言いました。基本的に「忙しい」は本人が決めるものではないと思っています。

本質問では、B部長が「忙しい」を理由にプロジェクトに関与しないという事態になっていますね。「忙しい」という言葉が、その人自身の成長の機会を奪っている可能性もありますので、上の人(管理者)が気を付けてよく見てあげていただきたいものです。以上、参考になれば幸いです。

今回のまとめ

  • 本当にやる必要があるのかの分析・検討を十分に行う
  • 客観的分析をもとに、自信と熱意をもって働きかける
  • 公の場での質問によって自尊心を傷つけずに当事者意識を持たせる
  • 「忙しい」をやらない理由にしない
担当者コメント

「忙しい」はつい言ってしまう言葉ですが、意識的に口にしないようにしたいものです。その他の過去のお悩みはこちらから

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

何事もうまくいっている時にこそ、次の準備を始めるべきです。うまくいかなくなってから準備を始めても手遅れです。

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