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Q30
「業務の見える化」に疑問

  • 2024-02-05
  • 保険業界 課長(30代)

保険業界で営業をやっております。先日部長から、“(私に)業務が属人化しているので、部下がいまいち育っていない。今行っている業務を文書化して見える化してほしい”と言われたのですが、正直それは難しいと思っています。
営業の仕事はどれだけルールやマニュアルなど文書化しても、結局自分で行動してコツコツと積み上げるしかない仕事です。無理やり何か文書化したところで、同僚や部下は逆にそれに囚われて動きにくくなるのではないか、と疑問です。
部下には、自分の商談に同行させて惜しみなくノウハウは伝えていますし、部長には、報告・連絡・相談は都度行っています。それで「業務が属人化している」と言われても、それは部下の能力の問題ではないかと思ってしまいます。私の考え方は間違っていますか。

A30
「業務の見える化」が会社の発展につながる

ズバリ言って、あなたの考えは間違っています。一見ごもっともな意見のように見えますが、「業務の属人化」は多くの会社において弊害になっています。その弊害とは一体どんなことでしょうか。以下列挙してみます。

  1. 属人化したその人しか仕事の内容が分からない
    • 不在時、代わりになる人がいない。
    • 緊急時にお客様に迷惑をかける。
  2. その人の仕事を他の人にやらせようと思ってもマニュアルなど仕事の準拠となるものがないので、代わりの人を育成できない。
  3. その人しか仕事の内容が分からないので、上司が指導できない。
  4. その人にもっと別の仕事を覚えさせたいけれども、代えられない。つまり、その人の成長にも支障がある。
  5. マンツーマン(師弟関係)の教育では時間を要し、多くの人の育成に支障があり、会社の更なる発展にも影響が出る。

このような弊害を一刻も早く打破するために、誰でも分かる形での「業務の見える化」、すなわち業務のルール化・マニュアル化が必要です。
本題のような意見では、あなたの周辺にいるごく少数(2~3人くらい)を育成するのには良いとしても、それはあくまでも師弟関係によるあなたのやり方にとどまるものです。また、報告・連絡・相談によって属人化した業務を補うことができるということはありません。マンツーマン的な師弟関係での教育も否定はしませんが、ルール化・マニュアル化することにより、まずは全員に通用する基本形を学ぶことが大切です。その上で応用して実地に学べば鬼に金棒です。ルール化・マニュアル化は武道でいう守破離の「守」の段階ですから、非常に重要なことです。
全員に共通した基本ルール・マニュアルを定め、頭で理解し、かつ行動で実践する。また、行動で実践したことを頭で整理し、基本ルール・マニュアルにフィードバックする。この両面からの理解を進めることで、自分だけではなく多くの人がレベルアップを図ることができると思います。

求められるのは目先の小さな成果ではなく、長期的かつ更なる大きな成果です。一途の方針の下で、属人化を排して運営することにより、会社として広く営業成果を上げ、更なる発展につなげることが可能となるでしょう。
属人化により活躍する人がいることも事実ですが、これは会社として一般的ではなく、特殊なことです。属人化が長年積み重なると弊害のみ多く、人材が育ちません。部下の能力アップのためにも、「業務の見える化」により誰にでも仕事の内容が分かるようにしていきましょう。属人化を打破していくと、会社にも明朗闊達な気風が生まれてくると思います。参考になれば幸いです。

今回のまとめ

  • 「業務の属人化」は会社発展の弊害である
  • 「業務の見える化」により基本形を学ぶこと、応用はその後
  • 目先の小さな成果ではなく、会社の長期的かつ大きな成果を目指す
担当者コメント

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

人生は「諸行無常」です。変わらないものなど、この世にありません。現実を受け入れて変化に対応していくことが大切です。

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