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Q29
部下の提案を却下しなければならず気が重い

  • 2024-01-22
  • IT業界 部長(40代)

IT業界の会社で部長として働いています。先日、部下のAさんから、営業で取ってきたとある案件について、ぜひこれをやりたいと熱意に溢れたプレゼンをされました。ただ、現在複数の案件を抱えており、長期的視点で考えると事業性の面で厳しく、私としてはNoという判断になりました。
判断は出ているので、彼の案件を取ってきた頑張りは認めたうえでNoと伝えるだけ、と頭では分かっています。しかし、それを伝えるのは、Aさんの案件を取るための苦労も知っているだけに、Aさんのモチベーションを下げてしまいそうで気が重いです。どう伝えれば私の誠意が伝わるか、ぜひアドバイスをいただきたいです。

A29
手順を踏んで誠意を伝える

せっかく営業をやらせて苦労して取ってきた案件にも拘らず、Noというのは部長としてはやるせない気持ちになりますね。しかもAさんは意気揚々と熱意溢れるプレゼンをしたのですから尚更です。
そこで、今日はNoと伝える場合の伝え方から話したいと思います。
物事に対して即座にNoと言われたり、否定されたら、多くの場合相手は気分を悪くしたり、落ち込んだりします。さらには信頼関係まで壊れる場合もあります。ポイントは即座にNoと言わないことです。
そこで、Noと言うまでの手順を、一例として以下に示します。

  1. まずAさんの努力、熱意をしっかり褒める
  2. 現在の社内の態勢、方向性などを考えて採用するかどうか検討させてほしいと伝える。
  3. Noと伝えるときは、色々と幅広く検討した結果であることを付言する。また、不採用の理由を明らかにする。
  4. 本案件の今後の取り扱い(採用の可能性など)についても伝える。
  5. 無駄な努力をさせたことについて、部長(上司)として申し訳なかった等の謝罪をする。つまり、部下の行動については上司としての自分に責任があるということを明言する。部下のことを自分事として考える度量を持つ。

以上のような一例を基に、部長自らがAさんに誠意を持って向き合ってほしいと思います。本件のおかげで部長がさらに信頼を得ることになるかもしれません。

次にお話したいこととしては、No以外の選択肢は本当にないのか、ということです。現時点でNoであっても、環境や条件など周辺の状況が変わり、案件の修正が可能であればYesに転化することもあります。その可能性を模索することも大事です。
とかく、私たちはYes・Noという二分法で物事を考えがちですが、YesとNoの間には多数の選択肢があるということも知るべきです。つまり、白か黒かではなくその間にはグレーゾーンがたくさんあります。
少し話が逸れるかもしれませんが、管理職の重要な資質の一つが、このグレーゾーンの問題を的確に処理できるかどうか、というものです。規則通りに処理できることであれば誰でも判断できます。
本案件は、まず、その案件を成立させることは出来ないか、先入観を持たずにNo以外の選択肢を考えてみましょう。その誠意というものが、相手(Aさん)に伝わった時にAさんも納得してくれるのではないでしょうか。
本題のようにどうしてもNoと言わざるを得ないのであれば、仰る通り、頑張りを認め、この案件を取った経験は必ずや将来に大きく役立つことや、自分も若い時にそんなことがあった等々、この経験が決して無駄ではないことを、知恵を絞って伝えましょう!

今回のまとめ

  • 先入観を持たずにNo以外の選択肢を考える。
  • 即座にNoとは伝えずに、手順を踏んで誠意を伝える。
  • 管理職の方は、グレーゾーンの問題を的確に処理する力を磨きましょう。
担当者コメント

丁寧にNoを伝えることが部下(人)の成長にも繋がりますね。「人」による組織づくりに興味がある方はこちらのコラムもおすすめです

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

人生は「諸行無常」です。変わらないものなど、この世にありません。現実を受け入れて変化に対応していくことが大切です。

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