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Q31
評価についての不満を告げ口された

  • 2024-02-19
  • 金融系 管理部門 部長(40代)

金融系の管理部門で部長として勤務しています。部下のAさんは、一人で黙々と仕事をこなすタイプで、数値目標に対して結果は出しますが、他の人が困っていたり、部署が繁忙時でも自ら何かを手伝ったり配慮をしたりすることがないため、チームのメンバーの信頼感はほとんどありません。能力は高いのですが、そんな様子なので、私としても良い評価が付けづらいのが正直なところです。
先日、自分の評価について、「結果は出しているのに部長に評価されていない」と役員に不満を漏らしたようで、役員から、ちゃんと評価しているのか?とチクリと言われました。前回の1対1の面談の際にも、個人の数値目標だけではなく、チーム内で協調性を発揮しないと良い評価はできないとフィードバックはしたのですが……直接不満を私に言わずに役員に告げ口しているあたり、ちゃんと理解はしてもらえてないようです。こういった「結果を出していればいい」と考えているタイプの部下には、どう指導すれば良いのでしょうか。

A31
「人が決めたことが正しい」と理解させる

Aさんみたいな人は結構多いものです。そもそも社内の評価基準はどうなっているのでしょうか?恐らく明文化されているものがあると思います。評価が絶対評価か相対評価なのかによっても評価の結果は変わってきますが、基本的には、評価基準に従って、私心をはさまずにきちんと評価することです。

ここで、評価の原点について考えてみたいと思います。

まず、人はそれぞれ「自分はよくやっている」と思っている生き物であると理解することです。だから、悪い評価には不満を持つことが多いものです。Aさんも自分はよくやっていると思っているに違いありません。自己評価では、誰しも自分に甘いものです。
よって、評価においても「人が決める」「人が決めたことが正しい」という考えを理解させる必要があります。「自分がよくやっている」と思っている人に対して、納得のいく評価を与えなければならないのですから、評価というのは本当に難しいものです。

私は、以下の2つを考慮して評価することが重要と考えています。

一つは、評価はその人の将来の発展・能力の向上のために愛情をもって行うこと。そして、その心が評価された側に伝わること。

二つ目は、評価結果がどうであれ、評価が本人のやる気を助長して、会社の発展につながるものであること。

元々、評価は人のやる気を助長し、長所を伸ばし、短所を今後の課題として正すためにあります。人を育てるには、良い評価基準を作り、社員に納得させ、内容を徹底する必要があります。性格面の評価も極めて重要だと思います。

仕事で大切なことは、個人の仕事がしっかりできることはもちろんですが、組織的に仕事を行いチームに貢献することです。チーム内で価値観を共有すること、コミュニケーションをとることや職場の雰囲気を良くしたりすることも仕事への貢献です。

Aさんの良いところは、黙々と仕事をこなす、数値目標をクリアしている、能力は高いという点です。数値目標を達成していることに対して、まずしっかり褒めて、感謝を伝えることが重要ですね。

一方で、短所(あるいは直してほしい所)としては、手伝う配慮がなく、チームに対する貢献を進んでしない点で、仲間の信頼がないという点ですね。単に手伝わなかったということでは、Aさんにとっては手伝うべき命令・指示を受けていなかっただけということになりますが、相対評価であるならば、他の人はやっているのにAさんはやっていないので評価を下げることになります。また、前述のとおり、組織的な活動も評価の対象となるはずです。日ごろからコミュニケーションを十分にとり、評価基準を説明して十分納得してもらってください。本人の為を想って、さらにこういう点を直してほしいと言ってやることです。

あとは、役員の方にもAさんの評価について説明するのも良いですね。 人が人を評価するのはとても難しいことです。部長であるあなたが誠意をもってAさんと接していただきたいと思います。時間をかけて、決してあきらめずに向き合っていただきたいものです。

今回のまとめ

  • 人はそれぞれ「自分はよくやっている」と思っている生き物
  • 評価はその人の将来の発展・能力の向上のために愛情を持って行う
  • しっかり褒めて感謝を伝えたうえで、さらに直してほしい点について誠意をもって伝える
担当者コメント

愛情ある評価によって人材は育ちます。本質的な人材育成にはこちらのコラムもおすすめです

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回答者: 呑田好文

元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師

何事もうまくいっている時にこそ、次の準備を始めるべきです。うまくいかなくなってから準備を始めても手遅れです。

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