中間管理職板ばさみ相談室
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Q23
「すぐに意味がないという若手社員」
- 2023-10-23
- 食品メーカー チーフ(40代)
私は、食品メーカーでチーフとして勤めています。現在、新規事業等、ゼロからチャレンジするような業務内容が多く、私自身はそのような環境に感謝しつつ前向きに取り組んでいます。
業務上、前例がないことも多いので、1つ1つ仮説を立てながら業務を進めていますが、一緒に働く若手社員は仮説段階での労力に対して効果の小ささを常に指摘して、「コスパ(コストパフォーマンス)が悪いのでやらなくていいのではないか?」と、なかなか実行しようとしません。経営陣からは、小さな取り組みから今後に繋がる種を見つけられれば良いと言われているので、毎回そのように説得しているものの、すぐに意味があるのか?と悩んでしまうようです。
こういった若手社員に対して、どのように向き合えば、一緒に取り組もうと前向きに考えてもらえますか。
A23
あなたの主動的な働きかけや信じる力によって
若手社員は変わる
あなたの新規事業に対するチャレンジする態度は素晴らしいです。そして、前例のない業務に対しても仮説を立てながら進めていらっしゃるのは、全く非の打ちどころがありません。
ではなぜ、若手社員はあなたの環境に対する感謝と前向きな取り組み、前例のない仕事に対する素晴らしい業務の進め方に賛同せず、むしろ意味がないと思うのでしょうか?そのあたりの分析が必要なようですね。
この問題を読んで、なかなかの難題だなという感想と同時に、自分の若い頃(20代)を思い出しました。
私が若い頃上司がいろんなことを実際の場面で教えてくれたり、同じことを何回も繰り返し反復させたりしたことに、“こんなことは今の仕事の役に立つのか”、“無意味ではないか”と反発したものでした。
なぜ反発したのか、今考えてみるに、私の場合は、以下のような理由だったと思います。
- 若手同僚の中に少し優秀だと言われている人がいて、その人が無意味だと言って、みんなに同調を求め、マイナスの方向にリードしていた。
- 若さゆえ、自分のやりたいことだけに集中したくて、その他のことに時間を費やすことを意味がないと言って、自分を正当化していた。
- 上司に逆らう反骨精神みたいなものがあった。反発することで自分が優秀だというプライドを持っていた。
- 若い時は、強制されることを特に嫌がる傾向があった。誰にも強制されず自由で楽をしたかった。
- 若い時は、何でも合理主義的に考え、批判精神が旺盛だった。
上記の私の体験がこの質問の回答を示唆するものではないと思いますが……ついこの質問を読んで、思い出した次第です。
本題に戻りましょう。なぜ若手社員は意味がないと思うのでしょうか?この問題は、若手社員とどう向き合うか、がポイントです。
一つ目は、若者(若手社員)の特性を理解することですね。物事をやるときに納得していないと身が入らない、気分的にムラがあるということを考慮して、その仕事の必要性、重要性を理解させることです。
二つ目は、若手社員の意見をよく聞いて、コミュニケーションを取ることです。あなたが、仕事ができすぎる故、若手社員は受動に陥り、主体性をもった仕事ができていない可能性があります。そこはお互いに相手の意見をよく聞いて、信頼関係をより強くすることが重要です。
三つ目は、将来に向かって夢や希望のある仕事に取り組んでいることを理解させることです。もちろん、目の前の仕事に取り組むことやコスト意識を持つことはいいことですが、長期的な視点においては、将来のことを考えていくことも大切です。大きな目で見て会社の発展につながることを伝えて、教育していきましょう。
四つ目として、若手社員と共に考えるということですね。あなたは、新規事業などの業務内容に前向きに取り組み、創造的・知的思考によって無から有を生むことに生きがい、喜びを感じているに違いありません。その喜びを若手社員と共有するために、若手社員と同じ目線で、一緒に考えて下さい。そのためには、質問を投げかけてみてはどうでしょうか?一例としては、「このことについてあなたはどう思う?」「あなたならどうする?」「私はこう思うけど、あなたの意見を聞かせてくれる?」等々です。若手社員との距離を縮めながら、共に考える習慣をつくることは有効だと思います。
以上、甚だ難問ではありますが、相手(若手社員)をあなたの力で変えることはできません。あなたがあの手この手で主動的に行動して、若手社員に働きかけて下さい。若手社員は責任を持たせ任せたら、頑張るものです。あなたが若手社員の実力(責任感、行動力、やる気、能力)を信じることも大事になります。そうすることにより、結果として若手社員は自らの力で変わっていくでしょう。優秀なあなたの腕の見せ所です!頑張ってください!
今回のまとめ
- 若者ならではの特性を理解してコミュニケーションを深めること。
- 共に考え、無から有を生むことの喜びを共有しましょう。
- 若者の責任感、行動力、やる気、能力を信じましょう。
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回答者: 呑田好文
元陸上自衛隊レンジャー教官。2002年退官(陸将補)
2018年よりアメリス顧問。2024年2月より同取締役。サロン・ド・アメリス講師。
自分と他人は違います。意見の違いは、間違いではありません。“違い”と“間違い”を混同しないようにしましょう。
担当者コメント
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