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業務改革成功の秘訣

2業務の見える化とは「業務文書」を作ること

はじめに:

前回、業務改革が失敗する理由として①業務の見える化が中途半端、②浸透に手間暇をかけていない、という2つの要因を説明しました。
では「業務の見える化」というのはいったいどういうことなのでしょうか。

1. 業務の見える化とは「業務文書」の作成

業務の見える化とは、一言でいうと業務文書体系に基づいた文書化を行うことといえます。会社の中には様々な文書があります。しかしながら、それらの文書は形式や内容がバラバラであったり、肝心の部分については担当者の頭の中や個人のメモ帳だけに書かれているものもあります。

業務改革においてどんな素晴らしいアイデアを出せたとしても、改革後の日常業務においてそれを現場が実行できなければ何の価値もありません。アイデアや企画などといったものは得てして“パワーポイントスタイル”でありますが、これを頑張って「ストック情報」として文書に落とし込まなくてはいけません。それも個人的な文書ではなく、会社として正式に業務を規定する文書「業務文書」です。業務改革においては、アウトプットとして「業務文書」を整備すること、そしてこれを現場に浸透することが本質です。

2. 業務文書作成の「2つの秘訣」

では「業務文書」とは一体どのように作ればよいのでしょう?誰が見ても一目瞭然なものにしなければならない訳ですが、それには以下の2つが大きな秘訣となります。

(1)文書のレベル感を統一する(文書体系に沿って整備する)

どこの会社でも、規程やマニュアルなどの基本的な文書のレベル・体系が定まっていると思いますが、実際にその体系に沿って文書がきれいに整理されているかというと、そうでもなかったりします。

例えば規程、マニュアルのいずれにも「ガイドライン」という文書が存在したり、改訂を重ねるうちに文書のレベル感がチグハグになってしまうということは往々にしてあります。

文書のレイヤーと内容のレベル感が統一されていないと、読み手は「何を読めばよいか」がすぐにわからず、人に聞いてまわるなどして生産性が大きく下がってしまいます。文書の体系を定め、文書の種類によって、書いてある内容のレベル感を統一することがとても重要です。

(2)すべての文書が同じ構成で書かれていること

仕事においては複数の業務文書を組み合わせて業務を進めていくことになります。その際、文書によって構成(体裁)が異なっていては、読み手はどこに何が書いてあるのかを頭に入れることができず、仕事をスムーズにまわすことができません。

文書の記載ポリシーを定め、全ての文書の構成・体裁を統一するわけですが、その際には、どの項番(見出し)に何を書くかまで統一することが大事です。これをすると度の文書を読んでも「業務に必要な帳票は第3項にまとまっている」などと、読み手が知りたい情報にすぐに辿り着くことができる文書群になります。

そうはいっても、全ての文書の工番を統一するには、各業務の内容を要件や手続き等にきれいに書き分ける必要があり、実はここが一番難しいところと言えます。

これらを守って文書を作成していくと、“どんな人でも理解できるシンプルな業務文書“を整備することができます。

3. まずは”現状の見える化”から

ここまできて、「大切なのはわかるけど、業務文書をつくるのは大変」と思われることでしょう。しかし、ここにも秘訣があります。

それはまずは現状の“見える化”から始めることです。すなわち、いきなり完璧な業務文書をつくりにいかない、ということです。

ついつい業務の“あるべき姿(ToBe)“を書きたくなってしまうのですが、いきなりは無理です。業務改革にて様々な問題を解決したのちに業務文書として書き表そうとしていると、何年たっても終わりません。終わらないというより、業務改革自体が進まないのです。

現状(AsIs)の業務が見えずして、業務の課題とその解決方針を的確に定めることは難しいです。前回も書きましたが、経営側も現場側も“今どうやって業務を行っているか”を十分に把握できていない中で、議論・検討しても良い方向には進みません。

また、いきなり細かいことまで全て書こうとしても、これもまた難しいです。

業務文書を教科書に例えると、大学院で使うような専門書から小学校の教科書のように「最低限が書いてある」ものまで、様々です。

業務文書にまずまとめなければならないことは、「手っ取り早くコミュニケーションが取れて仕事が回せるようになる」までの必要最低限の知識(考え方、進め方)です。すなわちそれは、現状どうやって仕事しているか?ということにつきます。これを前述の「業務文書作成の2つの秘訣」に従って文章化(“見える化”)していくのです。

まずは業務の現状(AsIs)の“見える化”を行うと、それを以て業務改革を素早く適切に実行することができ、かつその後の業務のあるべき姿(ToBe)を業務文書としてまとめることもでき、一粒で二度おいしい、となる訳です。

4. 業務文書体系

(1)業務文書の種類

業務を規定する業務文書は、4つのレベルに分けられ、下図のように整理されます。

規程:
組織によって、社則、規則等とも呼ばれるもので、就業規程や取締役会規程等、労働基準法や上場基準等で整備が定められているものもあります。
業務要領:
業務標準書、業務プロセス、SOP(Standard Operating Procedure)等とも呼ばれるもので、規程の下で業務の要件(ルール)、手続き等を具体的に示したものです。主に、複数部署をまたぐ業務について、各業務単位にて整備されます。「対象業務の標準的な“全体の流れ”がわかる」教科書的なものといえます。
マニュアル:
業務マニュアル、作業手順書、作業要領書等とも呼ばれるもので、主に、個人作業レベルの単位にて整備されます。パソコンや機械の操作、オペレーション動作等、図表を用いて作成されるものも多いです。
様式・帳票:
ひな形、フォーマット等とも呼ばれるもので、規程や業務要領の定めに従って作成する業務のアウトプットとなります。この様式が、実態的には業務を定義するとも言えます。

この文書体系を構築することにより、(上図(右)にある通り、)上位の文書で定められた「経営の決心」が、下位の文書に行くに従ってより具体化されていきます。そしてそのアウトプットとして帳票・様式に情報が入り、これがまた上位文書にフィードバックされ、業務を進化させることができます。いわゆる「ビジネスとは仕組みである」というものの正体がここにあります。

(2)よくある事例

業務文書のうち、規程はレギュレーション等の関係から、どの企業でも整備が一定程度進んでいます。また様式・帳票は、これがないと業務にならないので何かしら存在しています。

問題は業務要領と、マニュアルです。個人的なものや、担当者間の引継ぎ等に使うものとしてはあるのですが、「会社の正式な文書として」となると、なかなか整備が進んでいない会社が多いようです。

しかし、業務要領やマニュアルといった文書が担っている役割は下図のとおり「教育」ですので、ここが整備されていないと人が育ちません。

会社の経営陣の皆様が「なかなか人が育たない」とおっしゃるのであれば、ここを整備しなければなりません。

業務改革のアウトプットとして「業務文書」を整備することが業務の見える化です。次回は、この業務文書をどのように使っていくのかをご説明します。

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